椚章臣『好きなのは先生より』(砂糖) ページ31
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本に囲まれてそれを整理整頓する。この作業ももう一人の図書委員とやっているが、やはり二人ではなかなか終わらない。まあこういう作業は好きなので別に苦ではないのだけれど。
私のいる空間と廊下を隔てる扉が誰かによって開けられた。思わぬ嬉しい人物でぱたぱたと駆け寄る。
「章臣せんせー!」
「おはようございます」
「あっ、おはようございまーす!」
ああ、今日もかっこいいな。素敵だな。優しく笑いかけてくれる先生に私の頬は緩みっぱなしだ。
話しながらいつも先生が借りていく辺りの本棚へと歩く。
「今日はあなただけですか?」
「そうそう。つむぎが衣装作りで忙しいらしくてね〜」
「そうですか。彼も大変ですね」
「あはは!そうだねえ。やっぱりわたしも図書委員なってよかったな」
隣でため息が漏れてそちらを向くと目が合った。呆れてるんじゃなくて、自分への戒めみたいに。
「貴方ももう三年生でしょう。敬語くらいは使いなさい」
先生は私の表情を、反応を見てる。頷くのが正答だろうけど『今』それをするのは違うよね?
「二人のときは敬語を外せって言ったのは" 章臣さん" でしょ?」
「⋯⋯プライベートでの話でしょう」
ふい、と本棚に目を逸らされた。知ってるよ。学校じゃだめだって。それが先生として言ってるのも、 "章臣さん" として私のために言ってるのも。
「⋯⋯⋯でも、好きなんだもん⋯」
「⋯そういうことは」
「っ、だめ!?かな!?ちょっとだけでいいの!だから__」
一瞬、声が出せなくなる。もうその感触も離れて話せるのに声は出ない。否、言葉が文にならない。
「⋯⋯⋯図書室では、静かに」
まだ距離の近い先生が呟くように告げた。そしてゆっくりと目を細めて笑う。その笑顔は確実に、
「⋯っあきおみ、さ、」
「もうそろそろ他の生徒が登校してきますよ、Aさん」
私の頭に手を置いてから横を通り過ぎる。
学校での "章臣さん" を初めて見た。胸が締めつけられて、でももっかい好きを再確認したの。
*
三毛縞斑『読めない男』(砂糖)リク→←羽風薫『君のため自分のため』(涙)
ラッキーカラー
あずきいろ
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理音(プロフ) - ☆アスカ☆さん» こんばんは!お返事遅れて申し訳ありません。了解しました!遅くなるとは思いますがそれでも良ければ書かせていただきます、ありがとうございます。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
☆アスカ☆(プロフ) - こんばんは(^-^)/リクエストします。レオ君相手で内容はおまかせで涙多めと砂糖多めの二種類お願いしますm(._.)m (2019年11月12日 19時) (レス) id: bf7dd3bfe3 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - ヒナコさん» ありがとうございます!!実はコメント頂いた日にヒナコさんの有り難い言葉を見まして、天満光くんのお話を書きました。大好きだとずっと読んでると言ってくださり、そして長らく更新していなかったにもかかわらずコメントしてくださりありがとうございます! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 今でもこの短編集大好きでずっと読んでます! (2018年12月9日 16時) (レス) id: 2c23b98d04 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - イカさん» えええめちゃくちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!!!書きたいなと思っているキャラがいるのですがその人のストーリーをあまり読んでいないのでとても遅くなると思います。あまりに遅くなる場合は他のキャラで書きますので気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2018年5月31日 18時) (レス) id: d0426cb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理音 | 作成日時:2016年10月30日 21時