朔間零『零れ落ちたのは』(涙) ページ27
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「泣き顔の嬢ちゃんより、笑顔の嬢ちゃんが好きじゃよ」
彼の好きな人に気がついて泣いていたときに、ちょうど運悪く鉢合わせた零先輩の言葉だ。泣かせているのは貴方だって気づいて。
そのとき私の口から出たのは「ありがとうございます」。酷く薄っぺらく、私の口から発せられたのかは不明で。それでもするりと出たなにかは、涙を止めるのに十分だった。
私は涙が出なくなった。
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「___Aちゃんって彼氏いるの?」
タオルを渡す瞬間放たれた質問は、答えが変わらないもの。彼と似た髪型の先輩。何故か彼が脳裏に浮かぶ。なんだか喉の辺りが気持ち悪くなった。
「はぁ?ナンパヤロ〜Aにいきなり何聞いてんだよ」
「いませんけど」
「おまえも答えるのかよ!」
「だって別に気にすることじゃないし」
「え〜?かわいい子の彼氏がいるかいないかは重要でしょ。じゃあ好きな人は?」
「いませんよ」
「羽風先輩はあんずにもその質問をしていたな。好きな人のあるなしがそんなに大事なのか?俺にはよくわからない」
「アドニスくん、それ言わないで!」
好きな人の有無に関する問いの答えは全て無しだ。数学の答えのように、決まりきったそれ。
いるだなんて言ったらその人物を吐くまで質問されるか、行動目線でバレる気がして。いや、好きじゃないことにしたいのかもしれない。
「勿体ないのう。嬢ちゃんはこんなにも魅力的なのに」
「あっちょっと朔間さん。俺がいるっていうのに横から入ってきて口説かないでくれる〜?ていうか、そういう朔間さんはどうなのさ。まさかAちゃんのことが⋯?」
彼が声を発したときに肩が跳ねたのには気がついていないよう。羽風先輩のおかげかな。
「くくく。それは申し訳ないことをしたのう。口説くつもりはなかったんじゃが。嬢ちゃんは、我輩には勿体ないわい♪」
そんなこと言って。知ってるよ。貴方があの子を見る目は表情はとっても優しいって。貴方があの子をとても愛おしそうに見てるのも。私は知っています。だって、私は貴方を見ているから。
「⋯そろそろ休憩時間終わりますよ。」
「おお、そうじゃったな」
安心できる笑顔、やっぱり好きだ。
きっと私は貴方に酷いことを言われたらもちろん泣くんだろうけど、貴方には優しくされても泣きたくなるの。
「ん?Aちゃんなんか言った?」
「いいえなにも。始めますよ。⋯ワンツースリー」
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青葉つむぎ『もしも』(砂糖)リク→←〃『気づかない(解説)』
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理音(プロフ) - ☆アスカ☆さん» こんばんは!お返事遅れて申し訳ありません。了解しました!遅くなるとは思いますがそれでも良ければ書かせていただきます、ありがとうございます。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
☆アスカ☆(プロフ) - こんばんは(^-^)/リクエストします。レオ君相手で内容はおまかせで涙多めと砂糖多めの二種類お願いしますm(._.)m (2019年11月12日 19時) (レス) id: bf7dd3bfe3 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - ヒナコさん» ありがとうございます!!実はコメント頂いた日にヒナコさんの有り難い言葉を見まして、天満光くんのお話を書きました。大好きだとずっと読んでると言ってくださり、そして長らく更新していなかったにもかかわらずコメントしてくださりありがとうございます! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 今でもこの短編集大好きでずっと読んでます! (2018年12月9日 16時) (レス) id: 2c23b98d04 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - イカさん» えええめちゃくちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!!!書きたいなと思っているキャラがいるのですがその人のストーリーをあまり読んでいないのでとても遅くなると思います。あまりに遅くなる場合は他のキャラで書きますので気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2018年5月31日 18時) (レス) id: d0426cb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理音 | 作成日時:2016年10月30日 21時