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足が止まったのはしばらくしてからで、会長はふうっと息をついていた
ちなみに私は肺活量はあるが、体力はそこまでないので乱れた息を整えていた
膝も笑っていて思わず座り込む
…水泳同好会とはいえ作曲の為に水に潜ってるだけだからなんて言い訳を並べて置く
祥)ふふ、必死に走ったから涙も出ないだろう?
A)気が付いてたんですか?
呼吸が正常になってから、私は会長を見上げた。病弱の彼でも最近は調子がいいようで涼しい顔をして私を見ていた
祥)僕も帰ろうと思って、昇降口に向っていたんだ。そしたら会話が聞こえてきてね
彼の妹に君が嫉妬してるのが分かったんだ
そこまで気が付かれていると、私も笑うしかない
そんなに分かりやすかっただろうか
A)おかしいですよね。家族に勝るものなんてないのに
祥)そんなことないよ。だって君の感情は嫉妬だけじゃない、むしろそれよりも
会長はそこでしゃがみこんで私の視線の高さに合わせてきた
祥)…寂しかったんだろう
ポタリ
スカートの一か所が少し色濃くなった
A)違いますよ
祥)苦しい言い逃れにもなってないよ
A)目が乾いただけです
祥)意地張らないで。素直に声をあげて泣いてもいいんだよ
優しいその声音に、ぐっとこみあげてくるものがあったが
これ以上泣くわけにはいかないと頑張って笑みを作ろうとする
だけど
祥)無理しなくていいんだよ。君まで彼のように壊れなくていい
一粒こぼれてしまった涙はもう止まり方を知らない
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作者名:♪護♪ | 作成日時:2017年3月15日 2時