高峯くんの彼女。【高峯翠】 (ページ4)

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｢うわぁ……綺麗っすね……｣
｢でしょ、見つけた時は真っ暗だっからあんまり見えなかったけど、やっぱり夕方の海は綺麗だね｣

ちょうど沈みかけていた太陽が海に反射してキラキラ光る。まるで高峯くんの髪みたい。

｢…ん？真っ暗ってどういうこと？｣
｢あれ、言ってなかったっけ。また迷子になっちゃって、｣
｢なんで、俺にそんな大事な話してくれないんすか？！｣

私が言い切るのが先だったか、高峯くんが怒るのが先だったか。私にもわからない。

それに意外だった。私のために怒ってくれる高峯くんが。

｢Aさんは女子なんすよ？｣
｢うん？自分の性別ぐらいわかるよ？｣
｢最後まで黙って聞いてて｣

お口チャックの仕草をすれば、はぁというため息と共に高峯くんに抱きしめられる。

え、え、と戸惑い押し返そうとすればびくともしなくて。

｢…わかった？もし、迷子になった時こういうことされたら抵抗出来ないんだよ？Aさんは『女の子』なんすよ？｣
｢………うん、悪いのは私だね。ごめん｣
｢…俺にも非があるしそこまで責めない｣

これは完全に私がドジっただけでは？という疑問符を浮かべた顔で高峯くんを見上げる。

｢……Aさんの、かれ、しなのに……一緒にいれなかった、こと｣
｢あと、前々から思ってたんですけど、あんまり俺の前で表情作らないで欲しい。ありのままのAさんを俺は見たいんすよ｣
｢あーもう……カッコつかない｣

片手で真っ赤になった顔を抑えるが、はみ出た耳や首まで真っ赤で薄暗いなかでも見えてしまう。