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「はあ、何やってるんだろう…私」
人気のないベンチで一人、空を見上げた。
前まではこんな気持ち無かったはずなのに。
何故か、悲しくなる。
高峯
「先輩っ…!」
「え…高峯くん…?」
大きな声で呼ばれて振り向くと、
荒く息を吐く高峯くんがこちらに向かってくる。
高峯
「探したんすよ…先輩、急にいなくなるから……」
「もしかして、私に気づいてたの…?」
高峯
「当たり前じゃないですか。俺、先輩が来てくれた瞬間嬉しくて楽しみにしてたのに…」
「あっ…ごめんね。急にお腹痛くなっちゃって……」
正直に言う勇気はまだ無くて、咄嗟に嘘をついた。
高峯
「大丈夫ですか?保健室行ってゆっくり休んだ方が…」
「うんん、今はもう大丈夫。…それより、さっきの握手会の女の子、凄かったね。積極的で…」
高峯
「ああ、あれですか…。俺のファンって結構グイグイ来る子多くて苦手なんすよね…」
「でも、それだけ自分のこと好きなんだって嬉しくならない?」
高峯
「うーん、まあ嬉しいっすけど…。でも、俺は先輩みたいにふわふわした感じの落ち着いた子が好きなんで…」
「ふわふわ…」
高峯
「ふふ、先輩は常にかわいいですね」
高峯くんはくしゃくしゃっと私の頭を撫でて、するっと髪をすくった。
高峯
「先輩…天祥院先輩とは、どういう関係なんですか?」
「え…」
高峯
「仲良さそうに話してるし、頭撫でたりとか…全体的に距離が近いっていうか…」
「まさかライブ中なのに見てたの!?」
高峯
「先輩、全然俺のこと見てくれなかったじゃないですか」
高峯くんは子供のように少し口を尖らせた。
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作者名:あねもね | 作成日時:2021年1月19日 19時