06. ページ6
「高峯くんのお弁当美味しそうだね！」
高峯
「そうっすかね…先輩のお弁当のが美味しそう」
「手抜き弁当だからあまり見ないで…」
人気の少ない木の影にあるベンチで二人並んだ。手抜き弁当、と言うけど覗くと色とりどりなバランスの良いおかずで全部手作りだった。
先輩の手料理…いつか食べてみたい。
「あの、高峯くん」
高峯
「はい？」
「もしかして、それって"うさちゃん"？」
弁当箱に描かれている小さなキャラクターを指さして首を傾げている。
まさか…先輩が"うさちゃん"に気づいてくれたなんて！しかも知ってるだなんて！俺は興奮気味に返答した。
高峯
「そ、そうです！うさちゃん、知ってるんですか？」
「勿論！家にぬいぐるみもたくさんある！」
高峯
「…！」
先輩と好きなモノが一緒…！
こんなに嬉しいの久し振りかもしれない。胸の中がもわっと熱くなって、目に見えない俺のしっぽが横にぶんぶん振っている。
高峯
「俺、その、ゆるキャラとか可愛いキャラクターが好きなんです。見てると癒されるっていうか…」
「わかる！癒しに勝るものはないよね」
高峯
「先輩と好きなものが一緒で凄く嬉しい…」
「私も共通点が見つかって嬉しいかも」
可愛い笑顔で俺の話に付き合ってくれる先輩。話しててめっちゃ楽しい。
正直、ゆるキャラよりも先輩見てるだけで既に癒し…
高峯
「あ、先輩」
「ん？」
高峯
「口の横にソース付いてます」
「えっ、ほんと…」
ゴシゴシとティッシュで拭う先輩。でも付いてるのは反対側で…
高峯
「先輩、こっちですよ」
「…んっ！？」
自分でも驚くくらい勝手に手が伸びていた。
先輩の左頬に付いていた汚れを自然に手で拭っていた。俺の行動に先輩も目をぱちくりさせて驚く。
「……っ」
え、なに、いまの顔。
照れてるの？まじで可愛い。
待って、無理。尊い…！
高峯
「先輩、かわいい…」
「えっ、え…！？」
先輩の色んな表情をもっと近くで見てみたい。
もっと積極的に先輩に近づきたい。
「たか、みね…くん？」
高峯
「俺、先輩ともっと一緒にいたいです」
この時、俺の中の何かが変わった気がした。
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作者名：あねもね | 作成日時：2021年1月19日 19時
