95 確信に変えて ページ45
「お二人とも、こんな所に来ていて大丈夫なのですか」
パーティーに出席する方が控え室にいて良いのだろうか。開始まではまだ時間はあるが、色々確認することはあるだろう。
「…トン氏は探しているだろうな」
「私は割と今回自由なので大丈夫ですよ」
二人とも何でもないように笑った。しかし、グルッペン様はアウトじゃないか。恐らくトントンさんはグルッペン様を探しているだろう。それでも、ここに来て下さったことが嬉しくて緊張が少し和らいだ気がした。
どうせなら、と此方を見つめているグルッペン様にずっと思っていたことを話してみようと思う。意を決して、私は口を開いた。
「……グルッペン様。私、昔貴方に会ったことがありますよね」
発した声は震えていたかもしれないが、そんなことはどうだっていい。
「ああ、あるぞ」
やっとか、とでも言いたげに側にあった一人掛けの椅子に腰を下ろしたグルッペン様。エーミールさんはその様子を見ると時間稼ぎしてきますね、と言って部屋を出て行った。
「俺は短期間、社会の見識を広げる為父の許しを得て孤児院で働いた。……そこでお前に、エケベリアの花言葉を教えた」
ああ、そうだ。やはりこの人だ。
あの時と変わらない口元の微笑み。ここに来て初めて廊下ですれ違った時の残り香を忘れていなかったのは、私が兄のように慕っていたからだ。
「……綺麗になったな、A」
目の前のその人は、柔らかい表情で此方を見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 459人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
