あんさんぶるパパーズ！【短編集】

【朔間零】〜3〜 ページ7

〜2〜のつづきです。

それからわずか十分後のことである。

父がベランダで倒れているという知らせを聞いたのは。

「お、おおおお…。Aよ…。パパが心配で助けに来てくれたのじゃな…。本当に優しい子じゃのぅ。」

『…何してるの？』

目の前には、ニンニクや十字架に埋もれて倒れている父の姿があった。

この人は、なにがしたいんだろう？

なんだか、さっきまで拗ねていた自分が馬鹿らしく思えてきた。

本当の馬鹿はきっと私だったのかもしれない。



『さっきの事なら、怒ってないよ。下らないことですねてごめんね。本当は演奏を聞いて褒めてほしかっただけだったの。素直になれなかっただけなの。ごめんね。大好きだよパパ。…だからこれ以上自分をせめて変なことしないでお願い。』

「Aーーー！！我輩の方こそ、お主を傷つけ、挙げ句の果てに卑怯なことを…！本当にすまんのぅ。我輩、せめてもの償いとしてこのまま朝陽に焼かれて旅立とうと云々かんぬん。」

本当に、めんどくさい父親を持ってしまったと、抱きついてくる巨体をなんとか抱き止めながら思った午後八時。

今度、改めて楽器のレッスンを頼んでみようかな。

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