あんさんぶるパパーズ！【短編集】

【瀬名泉】〜2〜 ページ2

〜1〜のつづきです


ぼすん、と音を立て、勢いよくベッドに飛び乗った。

ふかふかの布団に顔を埋めながら溜め息。

ーーー…やってしまった。


年頃の娘と父親の喧嘩の内容がまさかの『食生活』。

よくこんな下らないことで啖呵切れたな私、と数分前の自分をほめてやりたい。


思い返してみれば、昔から体型や体重関係のこ
とについて悩んだことは無かった気がする。

ダイエットしなきゃとか、急激に太ったとか、そういったことに悩まされなかったのは、きっと今までの食生活のおかげだ。

その事に関しては重々承知しているし、恐らくこの食生活を止めたら、私の体型はどんどん肥大化していくだろう。


でも、やっぱり高カロリーの物も、甘いお菓子も食べたい。

今まで、こういったものをまるっきり食べたことがないという訳ではないが、食べる機会は少なかったと思う。

母の作る料理も、野菜が多いことに変わりはないが、父のよりは比較的、肉や揚げ物も多かった。


現役アイドル兼モデルで、芸能界で引っ張りだこの父は家になかなか帰ってこれない。

その為、普段の食事は大体母が作っているのだが、父が帰ってくると、何故かその日の食事は父方作るのだ。


もともと料理が得意らしい父の作る食事は、はっきりいって絶品だと思う。でも野菜の割合が異常だ。

大方、私の健康を気遣ってくれたからこその結果なのだろうが、育ち盛りの子供としては、少し満足度に欠ける気がする。


父のように、モデルだからだとか、明確な理由がない私にとって、健康と美容の集大成のような父の食生活は、少し受け入れ難いものがあった。

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