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トントンッ...
部屋のドアを叩く音が聞こえた。
翔「入るよ」
タオルを首に下げて髪もまだ濡れてるところからして、上がった後すぐ来てくれたのがわかる。
ベッドに座っていた私の隣に座って心配そうに見つめるお兄ちゃん。
私から話すのを待ってるんだ。
お兄ちゃんにも反対されたらどうしよう、そんな気持ちが強くあった。
でも、お兄ちゃんに言わなきゃ。
A「私ね、オーディション受けてみようと思って」
翔「オーディション？ピアノの？」
A「違う。...アイドルのオーディション」
翔「は...？」
お兄ちゃんの顔が見れなくてどんな顔してるのかなんてわからないけど、すごくびっくりしてるのはわかった。
翔「アイドルって、芸能界ってこと？」
A「うん」
翔「どうして？」
A「お兄ちゃん見ててやってみたいなって思った。もちろん甘くないのだってわかってるし、簡単にやってみたいって言えるものじゃないのもわかってるけどやりたいの」
長い沈黙だった。
その沈黙を破ったのは私。
A「お父さんには反対された...」
翔「そうだろうね。俺もあまりお勧めしたくない。芸能界って想像以上に大変で危ない世界だよ」
A「でも！お兄ちゃんは良くて私はダメな理由って何？お兄ちゃんだって私と同じ年のときにジャニーズ入ったんでしょ？」
八つ当たりだった。
お兄ちゃんは許されてやってるのに、私は反対される理由がわからなかった。
だから、このとき初めて、
翔「俺も反対されたよ。それでも俺はこの道に進んだ。だからAの気持ちは痛いほどわかる」
お兄ちゃんも反対されて大変だったことを知ったんだ。
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作者名：ひーりん。
| 作成日時：2016年12月24日 0時
