骨折と小細工と告白と ページ45
カイトside
カイト「どういうこと。」
鈍い音に流石に危険を感じたのか、空いていた片方の腕で僕の腕をひねりあげるベネスを睨み付ける。
見るとベネスの手の甲はあり得ない形に歪んでいた。
そこで初めて折ったことに気づいたけれど、僕の感情はあまり動かなかった。
代わりに、今掴まれている腕は折られるだろうと覚悟して少し身構える。
数秒後、想像した通り僕の腕はボキッ!というこれまた鈍い音とともに激痛が走った。
強く地面を蹴って、折った衝動で力を緩めていたベネスの腕から抜け出す。
ベネスが苛立たしそうにギラリと睨み付けてきた。
ベネス「腕を折られても顔色1つ変えなくなったか。とうとう真面では無くなったようだな?」
じくじくと痛む右腕を押さえて、流石に積もってきた苛立ちをぶつけるようにベネスを睨み返す。
顔色1つ変えない?ああ、確かに顔色はかわっていないだろう。これでもポーカーフェイスは得意な方だ。
それでも痛いものは痛い。しかも右腕……利き手を折られた。
ベネス「……ふん、目は口ほどに物を言うというが、お前の目は全くその機能を持っていないようだ。……ああ、そうか。質問にまだ答えていなかったな。どういうこと、か?その足りない頭で考えてみたらどうだ?」
饒舌に一人で喋り続けて、またあの人を小馬鹿にしたようなニタニタとした笑みに戻る。
その気持ちの悪い笑みを無言で睨み続け、その間に……
今までの何度かの攻撃の中で準備した、ちょっとした小細工を完成させるために、左手をゆっくりと後ろに下げた。
その沈黙をどうとったのか、ベネスの気味の悪い笑みは深まっていく。
ベネス「どうした?わからないのか?」
キリキリキリ……と左手の指先に張った細かい糸に近いものが指を軽く締め付ける。
上がりそうになる口角を、得意のポーカーフェイスで押さえつけた。
ベネス「分からないのなら仕方がないな。答え合わせだ。」
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??「何故なら、お前の義父の魂は、つい今しがた全て私が消し去ったところだからな。」
その、告白は、折角用意した小細工を台無しにしそうになる程度には衝撃的なものだった。
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あんなつ♪(プロフ) - ♪稀小椎♪(mej)さん» うす!ありがとね!! (2020年8月16日 15時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 脱字した…、今更言うけど、続編おめ! (2020年8月15日 20時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 今更、続編おめ!! (2020年8月15日 18時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
あんなつ♪(プロフ) - ケイさん» 私もそう思う!!!父親○したヤツなんて○しちゃえ!!! (2020年7月7日 19時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - あんなつ♪さん» ちょっと待ってベネス腹立つわぁああ怒カイトくん一気にやっちゃって!!本当もう、原型とどめなくていいと思う! (2020年7月7日 5時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
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