らくだい魔女と両思いのち片思い〜奇跡が起こる瞬間に〜

一難去ってまた一難 ページ35

フウカside



良かった……！戻ってこれた！！



って、そう思ったのに……。



フウカ「何っ、これ、！？」



あたしはいつ握ったのか記憶もないのに剣を持っていて。









その剣のするどい切っ先を、






チトセに向けていた。



チトセ「フウカっ！？」



フウカ「チ、トセ……？これ、どういうこと……！？」



ギリッとチトセが歯を噛む音が聞こえる。チトセの瞳が一瞬揺らいで見えて、どこかを指すようにあごをある方向に向けた。



恐る恐るあたしもその方向を見ると、そこには。



驚いたように目を見張るガート(敵)が立っていた。



ガート「な、どうやって……！？」



その様子に、ふつふつと怒りが沸いてくる。こいつは、偽物なんだから。



フウカ「それはこっちが聞きたいわよ！これ、どうなってるのっ！」



あたしは噛みつくように怒鳴る。すると、チトセがぼそりと呟いた。



チトセ「良かった……フウカ、正気に戻ったんだよな……？」



明らかに安堵したように息を吐くチトセ。それを見てガートが気をとり直したようにふんっと鼻で笑った。



ガート「どうやったかはしらないが、正気に戻ったと言っても王女の体はまだ私の言いなりだ。安心するには早いのではないか？」



ガートの声で、ガートが絶対言わないような言葉を発する。



言い返そうとして、あたしははっと息を飲んだ。



あたしの身体が、まるであたし以外の誰かに操られているみたいに、勝手に動き始めたから───。



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