らくだい魔女と両思いのち片思い〜奇跡が起こる瞬間に〜

すがった。 ページ28

ガートside



〜〜またまた回想です〜〜



だんだんとぼやけていく視界の中、真っ直ぐに王を見据えた。



数秒の沈黙の後、王の唇が薄く持ち上がり、冷たい嘲りを乗せた笑みをが浮かんだ。



ベネス「さて、己の頭で考えてみたらどうだ？例えば……



お前を気絶させてからの方が乗っ取りやすいから、とかな。」



違う、違う！！と、頭の中で何度も考えたことを反復した。



これは、王ではない、これは……っこれは！！！……わかっているはずなのに、何度も言い聞かせているはずなのに、目の前にいる“王“という存在に絶望しそうになった。



思考の全てを捨てて、ただ深く息を吸い、たった１つの希望にすがろうとした。



王が、戻ってくれることを。ただそれだけの希望にすがり、声を上げた。



王に届くことを、切に願いながら。



「陛下っ！なぜ……なぜっ、そのように……っ変わられて、しまわれたの、ですか！？」



けれど…………私の発した最後の叫びに、王が応えることはなかった。



ベネス「たく、従者は従者らしく大人しく主に従っていればいいものを。」



冷たく突き放すようなその声を最後に、私の意識は途絶えた。



霞行く意識の中、私は、もう２度とこの景色を、光を、あのお二人──カイト様と王──の笑顔を見られなくなるのではないかと



ぼんやりと考えてしまった………………。

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