らくだい魔女と両思いのち片思い～奇跡が起こる瞬間に～ (ページ26)

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変わりページ26

ガートside

～～同じく回想です～～

最初は、ほんの少しの違和感だった。朝、挨拶をしてもお返事がなかった。食事中、一言も発さなかった。その程度。

でも、刻一刻と時が過ぎるうちに、それは微かな嫌悪とともに確信へと変わっていった。

特に、いつもだったらカイト様に向ける暖かな笑顔が、温度を孕まない冷たい一瞥に変わっていた時。

執務を、まるでただの面倒事のように適当にあしらった時。

王とは別人だと言われた方がしっくりくる程に、王は変わっていた。

体調が優れないのかとも思った。それとも執務に立て込むものでもあったのか。

けれども顔色が悪いわけでもなければ体力が衰えている様子もなく、ましてや国も王のお力で平穏で、日常に支障をきたす程の物などなかった。

しかし、確かな変化がそこにあった。

カイト様が銀の城の王女と親しくしているという話はカイト様自身の口からよく聞いた。

そして勿論、王もご存知である。ただ、今まで、それを悪用しようとなど微塵も考えていなかっただけで。

ある日、王が言った。『銀の王女を連れてこい』と。

理由を聞けば単純明快。彼女の力があれば、この国は魔法界にも名を上げることができる。

これだけ聞けば、王がこの国を確かなものにしようとしている、という普通の思考回路。

確かにこの国は魔法界では知っている者も一握りの隠れた小国だ。

だが、この時、私は確信した。王は先日までの『王』ではなくなっていることを。

なぜなら彼は、魔法界に進出することなど考えてもいない、

ただ、今のままのこの国を、愛してくださるお方だったのだから。