家族の風景 ページ19
フウカside
目の前の画面を凝視する。そんなあたしを置いて、画面の中の会話はどんどん進んでいった。
ベネス『そうか!良かった……。』
ガート『ええ。養子に当てはあるのですか?』
ベネス『ああ。実は孤児院に預けられた子がいてな。カイトという名の子なのだが、どうやら強い魔力を持ち、親が恐れて孤児院に連れていったらしい。見に行ったが、確かに魔力が強大だった。あの量を制御できるように育てるのは普通の里親では困難だろう。』
カイ、ト?を養子に……ってことは、かなり前じゃない?
それに……カイトの話をするベネスは悲しそうで、やっぱり、とても暖かかった。
ガート『成る程。歳はいくつで?』
ベネス『1歳だそうだ。』
ガート『そうですか。向かい入れる準備をしなくてはなりませんね。』
ベネス『……!そう、だな。カイトを向かい入れよう。』
驚いたように目を見開いて笑ったベネスの姿は、今のベネスからは想像できないくらいに慈愛に満ちていた。
あたしは呆然とその笑顔を見つめる。すると、画面が切り替わった。
今度は、さっきとあまり変わらない姿のベネスと、白い髪を揺らした綺麗な蒼色の瞳の男の子。
カイト、だ。あたしと出会ってすぐの頃だろう。多分、3歳くらい。
ベネスと一緒に楽しそうに話をしている所だった。
ベネス『そうか、良かったなカイト。友達ができて。』
カイト『ともだち?』
ガート『一緒に遊んだり、話したりする相手のことを友達というんですよ。』
カイト『じゃあ、ガートととうさんもともだち?』
ベネス『いや、義父さんは家族だろ?』
ちょっと拗ねたように話すベネスも、キョトンと首を傾げるカイトも。
普通の家族の風景で。さっき冷たく睨み会っていた二人とは全く違う暖かさで。
ガートの困ったように笑う声が聞こえた。その声もしっかりとした温度があって。
なんでああなったんだろうって、悲しくなった。
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あんなつ♪(プロフ) - ♪稀小椎♪(mej)さん» うす!ありがとね!! (2020年8月16日 15時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 脱字した…、今更言うけど、続編おめ! (2020年8月15日 20時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 今更、続編おめ!! (2020年8月15日 18時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
あんなつ♪(プロフ) - ケイさん» 私もそう思う!!!父親○したヤツなんて○しちゃえ!!! (2020年7月7日 19時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - あんなつ♪さん» ちょっと待ってベネス腹立つわぁああ怒カイトくん一気にやっちゃって!!本当もう、原型とどめなくていいと思う! (2020年7月7日 5時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
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