らくだい魔女と両思いのち片思い～奇跡が起こる瞬間に～ (ページ18)

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養子ページ18

フウカside

ふわふわと、体が浮いてるような気がする。でも、箒に乗ってる時みたいに揺れたりしない。

強く瞑っていた目を開けて、辺りを見渡す、けど。

フウカ「何よ……ここ。」

そこはどこまでも真っ白な世界。上も下も右も左も分からなくて、こうなると自分が浮いてるのか立ってるのかすら分からなくなってくる。

何度も頭を振ったり目を凝らしたりしてみたけど変わらなくて、そのうち自分がいないんじゃないかみたいな錯覚まで感じるようになった。

そんな時。

いきなり霧みたいな靄がたって、辺りに広がり始めたの！

慌てて払おうと腕を伸ばすと、その霧に、画面みたいにセピア色の画像が映し出された。

ハッと息を飲む。そこには大きな椅子に座るベネスが映っていた。

反射的に身構える。だけど、そこに映っているベネスはさっきの冷たい表情じゃなくて、情け無さそうに眉を垂らして俯いていた。

ベネス『なあガート。実は養子を取ろうと思うんだが、どう思う？』

これまた弱々しい声で呟くベネス。あたしは頭がこんがらがりそうだった。

養子？ってどういうこと？そもそもこれは現実？それとも夢？っていうかあたしガートじゃないし！！

あたしはガートじゃないし、もちろん問いかけに返事だってしてない。

それなのに、ベネスの向かい側、つまりあたしのいる方向辺りから声がした。

ガート『そうですね……。先妃様がお亡くなりになられてからもうすぐ１０年です。民も王の再婚を前から望んでおりましたが、その理由の一旦が次期王となられる方が不在だということ。陛下に再婚のご意志がないのであれば、養子を取るというのが最良かと。』

……ガートの、声がした。さっきまで気味が悪いくらいに冷たく感情がこもっていなかった声が、今は暖かく感じる。

ガートの声なのに、まるで違う人が喋っているような気がする程には衝撃だった。