友達探し34日目 ページ38
・
ウイルス異能者、「プシュキン」。正直云って好きじゃない。弱い者だからと強い者にどんな手でも使おうとするし。……そういうの、よくないと思う。
私たちが今いるのは、プシュキンが逃げて来るであろう処だった。
……桜庭ちゃんが復活して少し経ってからそこにあったのは、あんぐりと口を開けたまま固まるプシュキンの姿。別名全ての元凶とも云う。
「ほら。云った通りでしょう?」
「安直な逃走路だ。幻霧の化身たるドストエフスキーに較べ、予測が容易過ぎる」
『桜庭ちゃんより莫迦っぽいですもんねー』
「おいふざけんな」
ぎぬろ、と睨む桜庭ちゃん。今となっては痛くも痒くもない視線だ。
プシュキンが「……バカな」と呟くのを確認し、国木田さんが威圧たっぷりに云い放つ。
「さて。貴様の所為で我々全員が死の危機に晒された訳だが、何か意見は?」
国木田さんの後ろには紅葉さん、与謝野女医、鏡花ちゃん、立原さん達がいた。
皆怖い顔してるなー……と思っていると、プシュキンがいきなり地べたに座り、手をつく。聞けば「ウイルスの解除も自首もするから許せ」とのこと。ふむふむ。
「ふむ、ならば問題ありませんね」
「あぁ、赦すか」
「……しゃーねえなあ」
『ほら、顔あげてください!』
ウイルスにかかっていた私達四人がそう云うとプシュキンはホッと息をついた。
……そしてそれから、ザッという足を踏み込む音が四人分。
「「「「そんな訳があるか」」」」
それと、ゴスッと何かを殴る音も四人分。
_______________________
「……ウイルス、消えたな」
『全快ですー!』
伸びをしながら笑う私と、いつも通りの顔の桜庭ちゃん。
「つーか新美これから何かあんの?」
『え?』
「いつもと服違うじゃん」
『……桜庭ちゃんがそんなところに気付くなんて……っ!!』
「おいお前の中のアタシってそんな莫迦なのか」
そう。これから探偵社の招宴があるらしく、私もいつもよりちょこっとお洒落している。
……髪をひとつに結ぶのは本当に久しぶり。与謝野さんとナオミさんが後でアレンジしてくれるらしい。
「たまには甘えなよ」と与謝野さんが云っていたけど……多分二人共、弄りたいだけだと思う。
『招宴があるんです!』
「ふーん」
『……似合ってます?』
「馬子にも衣装」
『それ褒めてませんよね!?』
……褒めようとしてくれたっていうのは分かるけども。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みず(プロフ) - 即直してきました。完璧です(ドヤ顔) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» ふひゃああああああぁああああ!!!!やっちまったぜスライディング土下座ーーーー!!!!(ズザアアアアアアアアアア) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - いやみずちゃーん!かなり前にも言ったが“弁別”よ!!不覚にも吹いたその二よ!!!← (2018年9月22日 22時) (レス) id: be7752c821 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» 与謝野先生の解体ショー(?)、新美ちゃんは未だ受けてないらしいです。 (2018年8月29日 15時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 大丈夫だ桜庭ちゃん。皆、これを経験して大人になるんだよ(`・ω・)bグッ! (2018年8月29日 13時) (レス) id: 2d3bbb4ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みず | 作者ホームページ:http://twpf.jp/uranai_mizu
作成日時:2018年4月3日 19時