友達探し27日目 ページ29
「…………すまん、アタシの聞き間違いか?お前……何歳だって?」
心なしか桜庭ちゃんの声が震えている。そんなに吃驚することなの?
『二十二歳です』
「………………」
桜庭ちゃんの思考を推測しよう。
…………たぶん「二十二歳→中也と同い年→よし嘘だな」って感じだろうな……。
「こんなときに変な嘘吐くのはやめとーー」
『ごん』
《(コクッ)》
「ッぶねッ!?」
おい何して、というところで、桜庭ちゃんの声は途切れた。……というか、私が途切れさせた。
『次は外しません』
「わ……悪かった……」
_______________________
「……で?推理の続きは?」
『今皆さんは、組織のトップである二人の命と、私達の命がそれぞれウイルスに脅かされていると思っています。つまり、トップの何方かが死ねば何方かが助かり、私と桜庭ちゃんの何方かが死ねば何方かが助かると思われている、ってことです』
「思われてるって……それじゃあまるで、そうじゃないみたいじゃねえか」
『…………現在ウイルスにかかっているのは四人。別に、トップ同士、私達二人同士でかかっているなんて決まりはありません。此処まで云えば判るのでは?』
肩にかけていたバッグから、包丁を取り出して──桜庭ちゃんの喉元にあてた。
「……へえ?」
桜庭ちゃんは口角を上げて、私の首に手をかける。
『判ってもらえましたか』
ふふ、と笑うと、桜庭ちゃんは呆れたようにため息をついた。
「お前の唐突さにはもう慣れた」
そう。
桜庭ちゃんはともかく、私は探偵社員じゃない。探偵社員じゃない私が死んだところで、探偵社に影響があるとは思えない。
……なんてね。名探偵さんに何か影響があったらいいな、なんて考える私は、やっぱり可笑しいんだろうか。
でも大丈夫。トップの二人が生きてさえいれば、きっと全面戦争なんて続かない。
『……それじゃ、お願いしますね。桜庭ちゃん』
「……お前こそしくじるんじゃねえぞ、新美」
桜庭ちゃんの顔は、見上げないと見えない。
桜庭ちゃんは、私の目を見ていた。目線が合って、少しだけ笑って、……だんだんと、私の首にかけられる力が大きくなっていく。
「せーの」は無しで、お互いにお互いを殺そうとした、その時。
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みず(プロフ) - 即直してきました。完璧です(ドヤ顔) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» ふひゃああああああぁああああ!!!!やっちまったぜスライディング土下座ーーーー!!!!(ズザアアアアアアアアアア) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - いやみずちゃーん!かなり前にも言ったが“弁別”よ!!不覚にも吹いたその二よ!!!← (2018年9月22日 22時) (レス) id: be7752c821 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» 与謝野先生の解体ショー(?)、新美ちゃんは未だ受けてないらしいです。 (2018年8月29日 15時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 大丈夫だ桜庭ちゃん。皆、これを経験して大人になるんだよ(`・ω・)bグッ! (2018年8月29日 13時) (レス) id: 2d3bbb4ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作者ホームページ:http://twpf.jp/uranai_mizu
作成日時:2018年4月3日 19時