色づく世界、君の声、歌。【あんスタ】

月永 ほら、もう夢のなか。 ページ11

月永side





俺には好きな人がいた。





優しくて、儚げで、


俺が知ってるなかで一番、
精一杯に、生きることを楽しんだやつだった。





彼女がいなくなったのは、先一昨年の夏。



彼女らしいといえばらしい、美しくて哀しい最後だった。





「あれからもう三年か…」



彼女が眠っている石の前で呟く。




「A、俺は少しでも大人になれてるかな…？」





なれてるはずなんか無いのに。



今でも君を思い出しては、俺らしくもないバラードが、
悲しみに溢れた愛の歌が思い浮かぶんだ。






こんな俺をみたら、


だめじゃない、って。
レオくん、男の子でしょう？って、

君は笑うんだろうな。





「昨日、Aの夢をみたんだ。」




綺麗な丘で、ひたすら歌ってる俺がいて、
そこで俺は、何があっても歌ってるんだ。


笑いながら、泣きながら、苦しみながら。





そんな時に、隣に君が来て、言うんだ。



もう、いいんだよ、って。



俺に言ってるはずなのに、君は自分自身に言うみたいに言ってた。


ひたすら、ただひたすら悲しそうに。






「ね、Aはもういないのか…？」



わかりきったことを石に問う。



それでも時々思うんだ。

君は隣にいるんじゃないか、って。








ね、だって。



目を閉じれば君がいる。

目を閉じれば、





ほら、もう夢のなか。



────
死ねたです。

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