60話 ページ12
「俺はモンスターを倒すためだけにライダーになったんだけど、蓮はライダー同士の戦いがどうのこうのって言って…」
そこまで言って、急にビルを見た。
「蓮!」
ビルには追い詰められた紺色のライダーが映っている。
蟹もどきの姿はあるのにオレンジ色のライダーの姿はどこにもない。
「Aちゃん、もう絶対にモンスターに関わっちゃダメだよ」
私にそう言ってビルの前で変身すると、二人同様ビルの中に入っていった。
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「何故その子供をつれて帰っている」
「いや、それがさあ…」
「もう遅いけど一人で帰るって言ったら送ってあげるからゆっくりしていけと言われたんです!」
城戸さんの背中にしがみついて、隣でバイクに乗っている蓮さんに大声で言う。
「勝手に決めるな」
蓮さんはそう言ったけど、花鶏という喫茶店に着くと、
「いいわよ」
そこを経営しているおばさんには承諾してもらった。
蓮さんは不服そうな様子でカウンターの席に座る。
おばさんの姪である優衣さんは私に紅茶を淹れてくれた。
ここに入ったとき、優衣さんがどうかしたのかと二人に聞いたけど、城戸さんが何か言おうとしたのを蓮さんが止めた。
結局オレンジ色のライダーの人は帰ってこなかった。
何があったのかと聞くと話を反らされて教えてもらえない。
二人がベルトに入れていたカードの入物のようなものが砕けて落ちていたのは見えた。おそらくあの人の身に何かがあったのだ。
「だけど保護者の人に連絡は入れなきゃね」
おばさんに言われ、それはそうだと頷いてポケットに手を入れる。
携帯だけは持ってきていた。
「あ」
「あー…」
城戸さんと二人で携帯をのぞきこむ。
画面は真っ黒でどのボタンを押しても何の反応もない。
外側に少し傷がついているから、転んだときに壊れたのかもしれない。
「電話番号わかる?」
城戸さんが自分の携帯を貸してくれるけど、首を振る。
電話番号ぐらい聞いておけばよかったと後悔するが、こうなってはどうしようもない。
「じゃあ俺が家まで送って説明します」
私の家の場所を城戸さんが聞こうとすると、蓮さんが私の腕を掴んで無理矢理立たせた。
「な、何ですか…?」
そのまま階段まで私を引っ張る。
2階の部屋までつれていかれて、ようやく手を離してもらえた。
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デリート(プロフ) - しおんさん» ありがとうございます。最近ビルドの方しか更新できていませんが、絶対に完結まではたどり着かせます! (2018年8月27日 20時) (レス) id: d5c354ea8b (このIDを非表示/違反報告)
しおん(プロフ) - 文章も表現も凄く上手くて一気に読んでしまいました!笑アンクとのやり取りがたまらなく胸きゅんします!更新楽しみにしてます!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 42e4f273a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デリート | 作成日時:2018年2月15日 18時