34話 ページ35
走り続けて約1時間。
｢アンク！アンク！！｣
指示されたらしき場所に着いても、アンクの姿が見当たらない。
｢アンク…｣
本当に何かあったのかもしれない。
そう思って映司さんのところに戻ろうとすると、何かに引っ掛かって思いきりこけてしまった。
｢遅ぇんだよ！！｣
｢アンク！？｣
腕だけになったアンクが私の足をがっちりと掴んでいたのだ。軽くホラーだ。
｢それ、どうしたの？｣
アンクの腕の羽根のような部分の鮮やかな色が失われていた。
｢ウヴァにメダルをとられた。しかもコアだ！｣
怒っているのはわかるから、大人しくして欲しい。
｢飛べる？｣
愚問だ。
飛べるのなら今頃アンクは私に八つ当りをしているだろう。
無様に地面を這いずっている。
｢…腕だけ持って歩くなんて変な感じ｣
こんな体験そうそうできない。
｢お前、セルメダルは？｣
｢1枚だけ｣
さっきのヤミーのメダルを1枚だけ失敬しておいた。けどたったの1枚だ。
｢ちっ、やっぱり使えない奴…｣
このまま捨ててやりたい気分だったが、弱っているのでそんなこともできなくて黙ってセルメダルを突っ込んだ。
｢さっきのヤミーのメダル、探してくるよ｣
多少は動けるようになったアンクにそう言って、服の端をくくる。
これでマシになるといいのだが。
バイソンヤミーから飛び散ったメダルを拾いに行こうとすると、アンクが止めた。
｢やめろ。どうせもうあいつが拾ってる｣
あいつ？
あいつって誰？
｢じゃあ映司さん呼んでくる！｣
｢映司は来ない｣
半ば諦めモードのアンクは私の言ったこと全部を否定する。
｢なんで？｣
お人好しの映司さんが誰かを見捨てるわけがない。きっと何とかしてくれる。
｢あいつが優先するのは"人間"だ｣
お前と違ってな。と呟くアンクに言い返す言葉が見つからなくて結局私が諦めた。
｢アンクって何のグリード？｣
離れるのも心配になってきて、アンクにそう聞く。
黄色のメダルはトラ、チーター。緑のメダルはバッタにカマキリ、あとクワガタがあるらしい。
どちらも猫科と昆虫で揃えられている。
｢…俺は｣
アンクの腕は赤色。
赤色と言えば…
｢鳥？｣
言ってみると、やけに素直に首肯くアンク。
コアメダルの中で赤色をしているのはタカ。タカは鳥類だ。
｢アンク、クスクシエに戻る？｣
このまま放っておくわけにはいかない。
｢お前の力でどうやって俺を運ぶ気だ？
それともこの体を捨てて行くか？｣
私がそんなことをしないことをアンクは知っている。
アンクがこの体を捨てたくないことを私は知っている。
｢それもそうか｣
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ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (
レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……！！書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います！更新頑張ってください！ (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年1月31日 22時
