23話(ようやく容姿設定出ます) ページ24
「アンク、降りておいでよ」
さっき落ちたくせに、懲りずに木にぶら下がって俺の名前を呼ぶ。
「やっぱりお前は邪魔だ。消えろ」
さっきからうるさくて仕方ない。
「アイス売ってたから一緒に食べようと思ったんだけどなー」
*********
「アンク、食べ物に釣られるのってあんまりよくないよ?」
釣った帳本人が言うことか。
「うるさい」
こいつの態度の違いには調子が狂う。
笑ったかと思えばすぐに無表情になって、ガキっぽいかと思えば妙に大人びる。
ただの人間の少女。
俺を怖がらず、好意は持っていないだろうが近づいてくる。
_やっぱり鳥さんだ!_
鬱陶しい。
「ここの景色好きかも」
焦げ茶色のふわふわとしたAの髪が揺れる。
と言っても、久しぶりに視覚を取り戻したアンクには何色かなどわからない。
「髪の毛邪魔…。アンク、髪ゴム持ってない?」
「持ってると思うか?」
「思わない」
汗で顔に何本か張り付いている。肩ぐらいまでの長さしかないが、確かに邪魔そうだ。
「ねえ、アンクの手見せて」
髪をどうにかするのは諦めて、俺の顔を見る。
「断る」
俺の手なんて見る必要がどこにある。
こんな醜い腕を。
「ちょっとだけだから」
痺れを切らして強行手段に出た。
ガキが俺の腕に手を伸ばす。
「触るな!」
あと数cmのところまで来たとき、思わず叫んだ。
「…ご、ごめん」
ガキが謝って手を元の位置に戻す。
変に重い空気が流れてガキの顔が曇る。
これで少しは寄って来なくなるかもしれない。
「アンク、人間嫌い?」
ようやく静かになったかと思ったのに、そのせっかくの静寂を破った。
「あ?」
あまりにも唐突な質問で(答える気もないが)答えられなかった。
「あ、人間が嫌いなんじゃなくて、この世界がきら」
「そういうわけじゃない」
ガキの言葉をすぐに否定する。
別にこの世界を嫌っているわけじゃない。
むしろ前は気に入っていた。
「じゃあなんでいつも苛々してるの。
…答えたくないのなら答えなくてもいいけど」
「……」
どうせ言ってもわからない。
人間にわかるはずもない。
俺は必ず取り返す。
あの美しい景色を。
26人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきみだいふく - ザヨコー (2018年5月24日 20時) (レス) id: 45dbd6a8fa (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 藍澤 水希さん» ありがとうございます。自分でも一期と二期、しかも小説まで混ぜるという無茶苦茶の意味がわからなくなってきていたので、喜んでいただけたのなら安心しました。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4a5d5c82f4 (このIDを非表示/違反報告)
藍澤 水希(プロフ) - 剣もオーズもすごく好きなので私に凄く嬉しい作品でした……!!書き方もお上手ですし、小説版の話を入れているのもとても良いと思います!更新頑張ってください! (2018年2月12日 23時) (レス) id: 7b0e10bb72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:デリート | 作成日時:2018年1月31日 22時