きらい。【いちねんせ】 ページ2
「ばっかじゃないの！」
そう叫んで、あたし、コンパートメントから飛び出した。ドラコがびっくりしたみたいに目を見開いてたけど、どうだっていい。
と言っても、行く場所なんてなくって、その辺を彷徨ってた。トランクだけ持って出てきたから、なんだかあたし、馬鹿みたい。
でもいいの。ドラコの元になんて戻りたくないんだもの。
「ねえ、あなた。そこの、トランク持ってる__」
汽車の廊下でトランクを持ってるの、というか今、廊下にいるのはあたしとあたしを呼んだ子だけ。振り返ると、そこには栗色の髪の女の子が、こちらを見つめていた。
あたし、びっくりしちゃって、思わずその子を見つめるの。
「カエルを見ていないかしら？トレバーっていう、ヒキガエル。友達が見失っちゃったの」
「み、みてないわ」
女の子の友達なんて、今までいなかったもの。あたしなんだか緊張しちゃって、つっかえちゃった。そしたら女の子、くすくすって笑ったのよ。
「私はハーマイオニー・グレンジャーよ。あなたは？」
「あたし__あたしはエリカ。よろしく」
せっかくお友達になれるかもしれないのに、自分の苗字を言うなんて嫌。この子がもしもマグル生まれや、純血主義を嫌うおうちの子だったら、お友達になんてなれないでしょ？
「そう、よろしくね、エリカ。でもあなた、こんなところで何しているの？もしかしてずっとここに立ってたの？」
「違うの。その、中の子と、喧嘩しちゃって、飛び出してきたの」
「あらそうなのね。それじゃ、私の使ってるコンパートメントに来たらいいわ。それで、着替えちゃいなさい、ね？」
「う、うん。その、ありがとう。えっと」
「ハーマイオニーでいいわ」
「うん、ハーマイオニー」
新しいお友達が増えたのが嬉しくて、あたし、思わず笑っちゃう。いい子そうでよかった。
これからの学校生活が楽しみで、あたしやっぱりちょっと笑っちゃったの。
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月6日 20時
