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「A」
低い声に、振り返った。そこにはテュフォンが不機嫌そうな顔をして立っている。
「どうかしたの？」
「別に。今僕と同じ気持ちの人間は、不本意ながら君しかいないとわかっているんでね」
「……」
「あそこにいると、息が詰まる」
視線の先には彼の妹であるアラクネと、その婚約者が立っている。
婚約者は、いかにも悪げな顔をした男だった。スーツのすそから見え隠れする手首には、何やら刺青が入っていて、そしてそれが闇の帝王の印であることは、周知の事実だった。
アラクネやテュフォンの実家であるロジエール家は、聖28一族のその名がついてはいるけれど、ロジエール家の末端も末端で、発言権一つない家だった。あるのは古びた家と、一人の屋敷しもべ妖精。そして大きすぎる名前。
その大きすぎる名前は非常に厄介で、どこへ行ってもついて回るものである。この世界が例のあの人一色になった時には、厄介なものとして、こっぴどく利用されることだろう。だからこそ、守るためにこそ、彼女の両親は彼女をより大きな家に嫁がせたのだ。いざというときに彼女を、そして自分自身をも守ってもらうために。
「聞いたか。動物を殺す趣味のある男だそうだ」
「聞いたとも。それがただのうわさ話であることを願うよ」
「アラクネは妹だ。成績も優秀で、人当たりもいい。愛嬌だってある。僕にはもったいないくらい、自慢の妹だ。なんだって、あんな男に」
「うん。君の妹は、立派だよ」
「……君の？」
テュフォンの空気が変わった。僕は驚いて彼を見つめる。ようやっと彼と普通の空気で話せる日が来たのかと思ったのだけれど。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - 宮野 ミヤさん» お久しぶりです。ありがとうございます✨私も恋愛からの葛藤が大好物です。おそろですね笑 あうっごく遅い更新ですけれども、お付き合いいただいてすっごく嬉しいです。完結だけはさせる気でおりますので、ぜひよろしくお願いします！ありがとうございました！ (2022年10月2日 9時) (
レス) id: 8fbdbf2cf0 (このIDを非表示/違反報告)
宮野 ミヤ(プロフ) - Part10お疲れ様でした！今Partも楽しく読ませて頂きました、恋愛からの葛藤めっちゃすきです！これから応援してます！！ (2022年10月2日 3時) (レス) @page50 id: 928a7d13f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 雪城さん» ありがとうございます〜！一気だなんてお時間をめちゃくちゃ取らせてしまった気が……。読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます！！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: e2b3768714 (このIDを非表示/違反報告)
雪城(プロフ) - 面白いです…！！Part1から一気に読んでしまいました！！更新応援してます！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 架印�靴気�» 教えていただいてありがとございます〜、そちらも覚え違いです…。時間はかかると思いますが、ちょっとずつ直していきます！改めて教えていただいてありがとうございます〜！ (2021年12月12日 18時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月5日 15時
