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さて、時は過ぎてクリスマスと少し前。私の婚姻パーティの開かれる日である。
「ふう」
気合を入れるために、息をついた。恐ろしいけれど、泣いて叫んで喚いたところで、現状が変わるわけではない。それならせめて、笑っていた方がましである。それに、相手もまだ見ていないのに、暗い顔をしていたら失礼だもの。
「笑って、アラクネ。そう、かわいいわ」
鏡を見て、にっこりと笑った。自分自身に言い聞かせる。
大丈夫よ、きっと優しい人に違いないもの。きっと素敵な人だわ。そうに違いない。悲しんでどうするの、笑顔の方がみんな幸せになれるじゃない。
「アラクネ」
「あら、Aお兄様、どうかなさったのでしょう？」
「君は強くなったね」
「……お兄様に褒めていただけるだなんて光栄ですわ」
心配そうにこちらを見つめているお兄様に、私は笑いかける。
「僕は、君の本当の家族じゃないけれど、君の幸せを願っているよ」
ああ、嫌な言葉。そう思う。
きっとこの人は、いくら年月が経ったとしても、私を妹と認めてくれる日はこないのだろう。私は、お兄様に認めてもらうためならなんだってしてみせるのに。
「……」
「ごめんね、今僕は、君にしてあげられることはない」
「悲しいことをおっしゃらないでほしいです、お兄様」
「え……」
私は笑みを作る。お兄様の心配そうな顔を見るたびに、自分はこの兄に愛されているのではないのかと錯覚してしまう。そんなことはないなんてこと、わかりきっているのに。
ねえ、お兄様。私は、お兄様がここにいらっしゃったときから、本当の家族のように思っているのよ。
「安心してくださいな。私は、幸せ者ですもの」
「……」
「こんなにもお優しいお兄様がいらっしゃるのだもの。どうして、そんな私が不幸だなんて言えるでしょう。そんなの許されないわ」
ね？そう笑えば、兄はやはり曖昧に微笑む。そして少し言葉を交わした後に、部屋から去って行った。
ねえ、お兄様。もしも一つだけわがままを言ってもいいのなら、私を妹として接してください。本当の家族じゃないだなんて、寂しいことをどうか言わないで。本当の家族のように、接して、側にいてください。
そんなことが口に出せないわたくしは、なんて臆病なのかしら。
自嘲気味に笑う鏡の中の自分を見つめて、なんだかすべてが馬鹿らしくなってしまうのだ。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - 宮野 ミヤさん» お久しぶりです。ありがとうございます✨私も恋愛からの葛藤が大好物です。おそろですね笑 あうっごく遅い更新ですけれども、お付き合いいただいてすっごく嬉しいです。完結だけはさせる気でおりますので、ぜひよろしくお願いします！ありがとうございました！ (2022年10月2日 9時) (
レス) id: 8fbdbf2cf0 (このIDを非表示/違反報告)
宮野 ミヤ(プロフ) - Part10お疲れ様でした！今Partも楽しく読ませて頂きました、恋愛からの葛藤めっちゃすきです！これから応援してます！！ (2022年10月2日 3時) (レス) @page50 id: 928a7d13f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 雪城さん» ありがとうございます〜！一気だなんてお時間をめちゃくちゃ取らせてしまった気が……。読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます！！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: e2b3768714 (このIDを非表示/違反報告)
雪城(プロフ) - 面白いです…！！Part1から一気に読んでしまいました！！更新応援してます！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 架印�靴気�» 教えていただいてありがとございます〜、そちらも覚え違いです…。時間はかかると思いますが、ちょっとずつ直していきます！改めて教えていただいてありがとうございます〜！ (2021年12月12日 18時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月5日 15時
