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「マリア、緊張している?」
「当然、心臓が音を鳴らしてたまらないわ」
ドキドキとなる音を押さえ込むようにマリアは自身の心臓を抑えた。そしていたずらっ子のようにクスリと私に笑ってみせる。
「本当に緊張している?」
でも、なんだかその笑顔が本当のもののように感じられなくて、私は聞く。
「当たり前よ。心臓がドキドキしてたまらないって、さっきも言ったわ」
「……そっか」
もしかして緊張が顔に出ないタイプなのだろうか。
彼女はまた笑って見せて、その後に一歩私より踏み出した。
その姿はやっぱり美しくて、私は目を閉じる。そうすればその間に、彼女がいなくなってしまうのじゃないかと不安になって急いでまた目を開けた。
「ねえ、メアリア」
「えっ?あ、なに?」
返事をすると、彼女は振り返って私の手を握る。ふわりと、甘い匂いが漂った。
「たとえ寮が違っても仲良くしてね」
やはりその笑みは、天使のようで美しいのだ。
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作者名:あんころころもち | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月7日 0時