【ハリーポッター】とある《マリア》のはなし。【親世代】 (ページ42)

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The forth year.-Side F- ページ42

ねえおかあさま。なかないで。

　わたしがお母様を守るから。どうかそのような顔をなさらないで。

　絶対に、お母様を笑わせて見せるから。絶対にお母様の望まれる姿に、わたしはなってみせるから。

　ねえお母様。泣かないで。あなたの笑顔が大好きだから。

「行かないで。おねえさま」

　か細い声でそういえば、姉は困ったように眉を顰めた。だけれどやっぱり美しく笑って、わたしを抱き寄せる。

「ねえフラン。あと数年もすれば、私たちは一緒に学校へ通えるわ」

「やだ。一緒にいたい」

　困らせているのはわかってる。

　でも、離れがたくてそう言った。だって「僕」を認めてくれるのは、お姉様だけだから。

「フラン。わがままを言わないの」

「……おかあさま」

　疲れた目が、こちらを睨む。わたしはそれ以上言えなくなって、泣きながらスカートのすそを握りしめた。

「お姉様。そんなふうにおっしゃらないで。フランはいつも頑張ってるから、甘やかしたくなっちゃうもの」

「……」

「マリアったら。もう」

　お母様が少し微笑まれて、だけれど何も言わなくなった。