【ハリーポッター】とある《マリア》のはなし。【親世代】 (ページ17)

今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:5,369 hit

ページページ17

「こんにちは、マリアさん」

　金の髪を見つけて、僕は声をかける。そうすれば彼女は振り返って、にっこりと笑った。

「こんにちは、レギュラス。こんなところで何をしているの？」

　彼女は美しい人である。どこから見ても完璧な美しさと、柔和な笑顔。たとえ相手が誰であっても平等に接する優しい性格。家柄のことで初めこそ疑われていたけれど、今ではスリザリンの人気者である。もっとも、スリザリンだけの人気者ではないけれど。

「いえ、あなたが見えたから。マリアさんこそ、何をしているんですか？」

「お花の手入れを少し。スプラウト先生に許可をいただいて持ってきた花を置かせていただいているの」

　マリアさんは小さな鉢植えを僕に見せる。白と青い花が並んでいる。きっと同じ品種なのだろう。

　しかし僕は花には明るくない。じっとそれを見つめた。

「とても大切な花なの。だから、特別に持ち込ませていただいたのよ」

「なんの花なんですか？」

「カーネーションよ。本来はもう少し大きいのだけど、魔法がかかっているの」

「へえ」

　
　くすくすと彼女は笑う。僕はそんな彼女を少し見て、照れ臭くなって目を逸らした。

「綺麗ですね」

「ありがとう。そう言ってもらえると、自分のことのように嬉しいわ」

　いつもニコニコ笑っているけれど、今日はその笑顔が少し違う気がした。マリアさんの違う部分が見られたと思えば、なんだか少し嬉しくなった。