休憩時間 ページ11
「──ィクラス！」
そんな時、左側から大きな声が聞こえた。つられるようにそちらを見て、そのよく知る声に走り出す。
彼だ。私のよく知る、大好きな、彼だ。
「ケフェウス……」
大きな声を出したつもりなのに、多分、最後に消え入りそうな声であったように思う。私はそれを見つめる。思考が停止した。
黒い靄が、ゆっくりと人を形作る。数秒後、彼の前に立っていたのは、知らない誰か。どこかで見たことがあるけれど、知らない。見たことだってないのかもしれない。いや、そうだ。見たことなんてない。似ているのだ。親友の名づけ親に、そして、ケフェウス自身に。この人は、だれ。
「君は本当に愚かだな、ケフェウス・ブラック」
男は言った。冷たい声だった。そして声と同様に冷たい瞳で、ケフェウスを見下ろす。見下す。
「君のせいで、僕の母は死んだ。兄も死んだ。すべては君のせいだ」
からん、音が部屋に響く。杖が、ケフェウスの手から滑り落ちた。
ああ、いけない。杖から手を離してはいけない。彼のところに走らないと。そう思った。だけれど足を動かす前に、男がまた口を開く。その張り詰めた空気に、足が動かない。
「もし君がもっとしっかりしていれば、ブラックはこんなにも落ちぶれることはなかったかもしれない」
ケフェウスは耳をふさぐ。苦しい顔をしている。
「君さえいなければ」
男は小さな声で呟いた。
「お前のせいだ！お前さえいなければ母上はあんなことにはならなかった！お前さえいなければ兄上はあんな亡くなり方をされなかった！お前さいなければ！ お前さえ！ お前のせいだ！」
大きな声が鼓膜を揺らし続ける。頭をかきむしるケフェウスに、どうすればいいのかわからなくなった。だって、こんな姿を見たかったわけじゃない。
「もう二度とブラックの敷居を跨ぐな、この血を裏切る者め！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 637人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんころころもち@多忙(プロフ) - さくら。さん» コメントありがとうございます🫶そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！！亀更新にはなりますが、よろしくお願いします！ (2月1日 15時) (
レス) @page17 id: 45eb699a28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら。(プロフ) - あんころころもち@多忙さん» 更新楽しみにしてました！！あのですがマニ。の妹です、姉と会話してるボードの方とかでも仲良くしてくれてありがとうございます！これからもマニ。を宜しくお願い致します！これからもファンとして応援しまくります📣、あんころころもちさん！☺️ (1月31日 7時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - あさりさん» わー！嬉しい❤️ そう言っていただけたら、頑張って書いた甲斐があります！ 今現在非常に多忙ゆえに色々できていないのですが、この多忙期間が終われば、更新ができればなあと思います！改めて、ありがとうございました！ (2023年5月11日 8時) (レス) id: 3acb9dc229 (このIDを非表示/違反報告)
あさり - 更新ありがとうございます！いつもワクワクしながら読んでいます<3たまに読み返すのですが本当にいい作品だなっと思っています。お忙しいと思いますが、体に気をつけてこれからも頑張ってください！長文失礼しました〜 (2023年5月2日 16時) (レス) @page13 id: 3010b0fc17 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - セドリック推しぃさん» 返信が遅くなってすみません。セドリック推し！いいですね。セドイケメンですもんね！この話を終わらすのかなーり時間がかかってしまうと思うのですが、検討します！コメントありがとうございました🫶 (2023年2月8日 1時) (レス) id: 54c52f82c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2023年1月24日 19時
