おはなし ページ8
『スズ? アヤだけど、入っていいかな?』
どこまでも白い世界に、黒い扉があった。
「いいよー!」
元気なスズの返事でアヤはその扉を開いた。
『あの…外はどうだった?』
扉の中はやっぱり、暗闇が広がっていた。
「んっとね、別に大した事なかった」
さっきまで、彼らと話していた者とは別人のように思えた。
声色は冷たく、瞳は光がなかった。
「みんなね、おねえちゃんの事を心配してたよ」
表情がなく、淡々と話すスズは恐ろしく見える。
「いい加減にさ、勇気をだしたらどうなの?」
冷ややかな目線を向けられたアヤは、俯いていた。
『…うん、そうだよね。
ゴメンね、ずっとスズに重いものを持たせちゃって』
「別に謝ることじゃないよ。それがスズの役目だし」
この沈黙が痛い。
「レイおねえちゃんは鳥かごにいるの?」
『うん。私の変わりに』
アヤはスズと話す為に、レイにお願いして、この暗闇の部屋に来た。
「珍しいよね。アヤおねえちゃんがここに来るなんて」
いつぶりだろうねとスズが嫌味のように言った。
アヤは言葉を見つけられないのか、黙ってる。
「あとさ、アヤおねえちゃんがスズに触れたことってないよね?」
「レイおねえちゃんは頭を撫でてくれたりするけど、アヤおねえちゃんはその距離より短く寄ったことすらないよね?」
痛い所を突かれたのだろう。
アヤは唇を噛んでいた。
「話す事がないなら、もう行ったら?」
スズはアヤに背を向けた。
『……ゴメンね、スズ』
そう言って、アヤは出ていった。
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アンジュ(プロフ) - ありがとうございます! (2018年11月19日 23時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - この小説、大好きです!更新、楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年11月19日 11時) (レス) id: 28bd392d70 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ(プロフ) - 投票、応援に感謝desu! (2018年9月7日 23時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふぶき(プロフ) - 私も2番でお願いします。これからも楽しみです!頑張ってください! (2018年9月6日 21時) (レス) id: 54c2af14f7 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ(プロフ) - 水族館に一票ですね! 緑野実鈴さん、投票をありがとございますっ! (2018年9月3日 15時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アンジュ | 作成日時:2018年8月7日 23時