ダイエット奮闘記。【QK】 (ページ7)

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ダイエット奮闘記。7 ページ7

『あの…伊沢さん？』

今まで見たことのない、まったく感情が読めないその瞳に、私は思わず怯んでしまった。

呆れられただろうか。
それとも、彼も実は私が太っていたことに気づいていたのだろうか。

優しいから指摘しなかっただけで。
本当は彼も、ずっと私にダイエットしてほしいと思っていたのではないだろうか。
自分が筋トレをして体型を気にしているにも関わらず、私が今まで馬鹿みたいにたくさん食べていたことをずっと不快に思っていたに違いない。

そんな嫌な想像ばかりが膨らんでいく。

目をギュッと固く瞑り、彼からかけられる次の言葉を黙って待ち続ける私。

すると彼は予想に反して、何も言葉を告げずに私の手首をぐっと掴んだ。

『えっ』

彼によって物凄い力で引っ張られた私は、何の抵抗もできないまま目の前にあったファミレスに連れて行かされたのだった。

何が何だか分からない私は、ひたすら席に案内されて座った後も、疑問符を浮かべることしかできず。

彼はなお私に何も言わずに、店員さんに数多くのメニューを注文して行く。

パスタ、ハンバーグ、オムライス、丼もの、唐揚げ、ポテト…

よほどお腹がすいていたのかとも思ったが、それにしても彼が挙げたものは軒並み炭水化物ばかり。
普段から身体に気を遣い、筋肉を育てている彼が、そんな高カロリーで脂質の多いものばかりを食べるとも思えなかった。

注文をし終えても、彼は黙ったまま。

声をかけようにも、彼は未だいつもの柔らかくて優しい雰囲気をまとった彼ではなかった。

周りからは家族連れや学生客の賑やかな声が聞こえてきたが、私達はまるでお通夜状態。

嫌な汗がツーっと背中を伝うのを感じながら、私はひたすらその重い空気に耐えることしかできなかった。

程なくして料理が次々と運ばれてきて、広いテーブルは黄色と茶色で埋め尽くされた。

そのあまりの圧巻な様子に、思わず怯えながらも私はゴクリと生唾を飲み込むのだった。

「食べて」

お皿に乗った美味しそうな料理たちを眺めていると、ふと彼がぽつりとそれを呟いた。

驚いて顔を上げれば、彼が私を真剣な目で見つめている。

本来食事を楽しむべきその場所と、彼の鋭い目つきが全くそぐわなくて。

私はその真意も分からずに

『え…でも…』

と戸惑うばかりだった。

すると彼は私の手を両手でギュッと握りながら、こう言った。