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「どうぞ」
通されたのは学園長室だった。5人全員が学園長室に入ると、学園長は突然振り返りこう問うた。
「君達の出身地を教えてください」
その質問が余りにも核心をついていたため、隣に立つ太宰も嬉しそうな顔をしていた。
「…ヨコハマ、って言ったら分かるかしら」
「ふむ…聞いたことありませんね。監督生くん、君はどうです?」
「…!あり、ます…!」
泣きそうな”監督生くん”を見て、学園長は「…では矢張り」と何か納得していた。
「では此処に来た経緯は?」
「…気付いたらあの教室に居た。言っとくが嘘じゃねェぞ」
少し考えた後にまぁ良いでしょう、信じます。とあっさり結論を出した学園長。
もう少し疑った方が良いのでは?
「君達がこの学校及び、生徒に危害を加えないということは分かりました。いやぁ安心しましたよ本当に。それでは玄関までご案内しましょう」
こちらです、と急に態度を変え玄関へ送り出そうとする学園長に3人、否4人全員が固まった。
ここで何の収穫もなかったらこの空間から抜け出せなくなる。
「ちょ、学園長?!待ってください!話が違います!」
「はて、何のことです?」
話が違うと言うことは、何か他に用があるのか?
「とぼけないでください!」
「この方々はたまたまこちらに来てしまっただけ。棺桶に入れられてきた君とは話が違うんです」
「でもさっき…!」
「検討すると言っただけですよ。それにこの方々をここに置く事にメリットがないとどうにも…」
「…っなら!僕の学園長に対する好感度が少し上がります!」
このコントのようなやり取りを呆然と見つめる3人。
拍子抜けとは正にこの事だ。
「好感度とは…貴方もここに染まりましたねぇ」
「好感度が上がれば、学園長のお願いも聞いてあげるかもしれないですよ…?!」
その一言を聞いて、学園長はピクと反応した。
「ほぅ。…何でもですね?」
「……せ、生死に関わること以外なら」
これは物騒なお願いごとをされてきた口だな。
「…あぁ、何だか急に私の良心が働いてあなた達を助けたくなってきました。突然来たと仰っていましたし、住む場所が無いでしょう?そこで!特別にここに住むことを許可します!困っている人に手を差し伸べる私…なんて優しいのでしょう!」
「学園長大好きです!」
自分達の話なのに勝手に話が決められていくというのはこういう気持ちなのだな。
ここまで沈黙を貫いていた太宰も口を開いた。
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ゆちゃまる(サブ)(プロフ) - 紅さん» えええありがとうございます!そう言っていただけて、本当に活力になります…頑張ります! (6月21日 7時) (レス) id: d2edcaedd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (6月21日 7時) (レス) @page7 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆちゃまる(サブ) | 作成日時:2020年5月20日 18時