ページ ページ3
・
「あら!ちょうど来たんじゃない?アオイ!出てちょうだい!」
アオイちゃんはえー、と言いながら歩いて玄関に向かっていった。
ちょこちょことわたしも後を追う。アオイちゃんが扉を開けるより先に、誰かが扉を開けて入ってきた。
「ごめんください」
アオイちゃんに追いついたわたしは、アオイちゃんの背中に隠れるようにくっついた。
入ってきた人は、アオイちゃんを見るなり少し微笑んだ。
「あなたが……アオイさんですね。となると、…隠れている方がAさんですか。」
そうだよ当たりだよ。誰ですか。ぴゃっと更に隠れたわたしの頭を撫でながら、アオイちゃんは頷いた。
「入学案内が遅れてしまい、申し訳ありません。……おっと、自己紹介がまだでしたね。
オレンジアカデミー校長、クラベルともうします。」
ほわっ校長!?まずい超失礼なことしてるぞわたし!!隠れちまってるって!
ママがキッチンから来て、驚いている。そりゃそうだ、校長先生が何の用だってんだ暇か。
「校長先生みずからいらっしゃったんです!?」
「アカデミーの不手際はすべて私の責任ですので……こちら、入学案内と校内施設の資料です。」
「わざわざすみません。せっかくなのでぜひお茶でも飲んでいってください」
何やら紙袋を渡されているママ。校長先生はおかまいなく、と頭を下げた。
「アオイ!ママ、校長先生とお話があるから、自分の部屋に戻って学校の準備してらっしゃい!バッグと帽子は必要よね!
ちゃんとAにも帽子被せてあげてね」
頷いたアオイちゃんは行こっか、とわたしに笑いかけ、一緒に階段を上がった。
カーテンが風に揺れて、ぱらぱらと机のうえのたんけんこころえがめくれている。いい天気だなあ。
「はい、Aちゃんのリュックサック。ちょっと重いかな、帽子も被ってね」
『うん、ありがとう』
帽子かわいいなおい。リュックは確かにちょびっと重いがまあ大したことはないだろう。アオイちゃん帽子似合いすぎか。
「降りよっか」
『うん』
再びアオイちゃんに連れられて階段を降り、リビングへ向かう。ママと校長先生が何やらお話していた。ママがわたしたちに気付くと、立ち上がって言う。
「あら!準備バッチリ!キマッてるわね!」
「誰が見ても立派な我が校の生徒です」
なんかママと校長近くない?アオイちゃんってパパはどこにいるんや…?はっ!!まさか、校長…。
なんて茶番をひとりでしてたのは内緒だ。
132人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ううぴょり - アオイちゃんの説明文にサンドウィッチの上パンについて書かれていて声出して笑いました…(時間を考えろ)陰ながら応援させていただきます! (12月30日 2時) (レス) @page1 id: 9084d4f4e7 (このIDを非表示/違反報告)
鍵ポスト - 文才の高さが伺える文の作りが凄く好きです…。やっぱり幼女はかわいいですね……。更新頑張ってください…!応援してます…! (12月29日 0時) (レス) id: 99494c38e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らて | 作成日時:2023年12月27日 17時