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――訳が分からなかった。


命を大事にしていない?私が?

……大事も何も、私は。


「……私は怪我したってすぐに治るんだし、それで誰かを助けられるんだから、別に問題なんてないじゃないですか」


重症でも、ある程度のものなら私は死んだりしない。

それが分かっている上での行動なのに、どうして非難されなきゃいけないんだ。


――その瞬間。


「ッ!?」


胸倉を掴まれて、私は容赦なく隊長に引き寄せられた。


「てめェの体は"物"じゃねェだろうが……!」


絞り出すような低い声と眼前の険しい顔に、目を見開く。


「すぐに治るからって、怪我してる事には変わらねェ。前に頸動脈ぶち切ったのも、とんでもねェ事だって分かってんのか?

そんな風に自分の身を軽く扱って誰かを助けたって、本当に喜ぶ奴なんか誰もいやしねェ。それでうっかり死んじまったら、てめェを大事に思う奴が余計に苦しい思いになるだけでィ。

何で、そんな事も分からねェんだよ……!」

「!」


ぎり、と。隊長の手に力が更にこもり、服が小さな悲鳴を上げた。


まっすぐ突きつけられた答えに苦いものが胸中を満たしていく。

だが不思議にも、驚きも何も感じない。


――何故なら。


胸倉を掴み上げられたまま、私は視線を落とす。…そして、ぽつりと。


「…知ってますよ」

「……あ?」


小さく小さく。口の中で呟くと、隊長は怪訝そうにした。


「……そんなの、私が一番、知ってますよ」


近藤さんがあんな顔をしていた理由が、罪悪感だけじゃない事も。

私がやった事を皆が知ったら、どう思うかという事も。


……だって私は、そんな思いを味わったのだから。



『A、生きろ。お前は何も間違った事はしてない。生きるんだ。

――一緒にいてやれなくて、ごめんな』



頭の中で響く父の声と、フラッシュバックする、体から血濡れた鉄塊を生やしたその姿。


自分の為に犠牲になって救われたって、ただ傷付くだけなのは、私が一番よく知ってる。


だって私は分かっていた。父が命を捨てたのは、母の後を追いたかっただけだったということを。私の為だけなんかじゃなかったことを。

本当に私の為に動いたなら、父はきっと、一緒に逃げようとした筈だったから。


私はただ、"言い訳"にされただけだけで。

――そして父と同じ事をしている自分を、見ないようにしていたんだ。

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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