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「な、んで……」
「お前の斬られた傷が全部治ってるのを見たって言ったら、話してくれた」
「!」
斬られた服の隙間から覗く無傷の皮膚を見てから、何て言ったらいいのか分からずに布団に視線を落とし、一番大きく斬られた左肩口からの切れ目を少し押さえる。
「――そう、ですか」
バレちゃった、のか……。
さっきの驚きとは一転して落ち着いている自分を少し意外に思う。
勝手に話した近藤さんへの怒りも無ければ、知られた事への焦りも無い。
もうこれで、余計な距離を取ろうとする必要がなくなったことに、どこかで安堵している自分がいた。
「……悪ィ」
突然謝罪した隊長を見れば、彼は少し視線を落として畳を見ていた。
「お前が隠してる事の重さも分かろうとしねェで、イラついて八つ当たりした。……悪かった」
「……!」
それが仲直りの謝罪だという事に気が付いて、何だか申し訳なくなった。
元はと言えば私のせいで喧嘩してたのに、向こうに謝らせるとは。
「…いいんです。気にしないで下さい」
それでも、やっぱり謝罪の言葉は口から出なくて。
そんな事も出来ない自分の立場を改めて呪いたくなった。
罪悪感とか気まずさとかそういうものが胸に渦巻いてきて、隊長の顔を見れずにいると、「――けど」と続きの声がした。
けど?
「!」
そっと視線を向けてみて、思わず息を飲んだ。
どこにどうやって隠していたんだと言いたいくらい、その顔は怒気で歪んでいた。
「一個言わせろィ。
てめェ、自分の事何だと思ってんでィ」
――え?
急に非難されたそれをすぐには理解できずにポカンとする。
……何の事?
私がうまく飲み込めていない事を察してか、
「てめェが隊士救う為に、自分の体を使ってる事言ってんだ」
と、舌打ちでもしそうな勢いでそう説明する。
同時に、納得もした。これに関しては、怒られたって仕方ないだろうから。
「……近藤さんに余計な罪悪感を背負わせたのは、悪いとは思ってます。あの人はお人好しだから、私が隊士の為に怪我する事になるって知ったら、そうなるくらい分かって『そういう事言ってんじゃねェよ』……え?」
聞いていられないとでも言う様に遮ったその声音は、本当に苛立たしげだった。
「俺が言ってんのは、てめェが
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時