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一応真選組専属医師の私だけれど、頼まれれば隊士でなくても診療はする。
今回のケースなんてまさにそれだ。
「大丈夫ですか?銀さん」
「全然大丈夫じゃねェ……。死にそう……」
新八君から銀さんが熱を出したと連絡を受け、私は万事屋にいた。
ピピッと鳴った体温計を手に取り、数字を見ると、
「39度9分か。体の節々が痛んだりはしませんか?くしゃみや咳が止まらないとか」
「関節は痛ェが、それはねェな……」
一つずつ症状を聞き、きちんとカルテにメモしていく。
それに合わせて薬を処方しなくてはならないからだ。
「凄い……。本当に医者だ……」
「Aカッコいいネ」
そんなヒソヒソ話をする神楽ちゃんと新八君の声が耳に入る。
褒めてくれるのは良いんだけど、新八君、『本当に』って何。まさか、今まで私が医者に見えなかったって言うの?
そりゃ医者らしい言動をしてないのは自覚してるけど。流石にちょっと傷付く。
内心文句を垂れつつ、私はカルテを閉じた。
「普通の風邪だと思いますよ。ただ熱がちょっと高いので、免疫力が落ちてるかもしれませんね。最近ちゃんと食べてます?」
「………」
銀さんは決まり悪そうに目を逸らした。
食べてないのかよ。しかも神楽ちゃんと新八君まで目を逸らしてるし。
これは、まさか……。
「またTKGですか」
「いや……定春のエサ………」
「マジですか」
お金無さすぎてドッグフード生活。考えただけで目眩がしそうだ。そりゃウイルスにも負けるわ。
しかもこのままでは風邪が治るまでずっとそんな食生活になるに違いない。
断言出来る。これじゃいつまで経っても風邪が治らない。って言うか論外だからそんな療養。
――となると、道は一つ。
「…仕方ない。私が治るまで看病します。食事代も私が出しますから、後で返して下さいね」
「本当ですか!?」
「やったアル、またAのご飯食べられるネ!」
「そこ、騒いじゃ駄目!」
病人がいること分かってるんですかね!?何でドタバタ飛び跳ねるの!!
これは余計に看病任せられないなと思いつつ、鞄から必要な薬を取り出す。
今日のところは手持ちの薬で何とかなりそうだ。
「取り敢えず痛み止めと解熱剤置いときますから、食後に飲んで下さいね。間接もあんまり痛むようなら、言ってくれたら鍼術やりますから」
「悪ィ、助かる……」
そうと決まれば、早速近藤さんに連絡だな。
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茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時