34 ページ36
……死んだ?
沖田隊長が?
――何、それ。どういう意味?
私は暫く上手く回らない頭でその意味を考え、数秒後、漸く理解した。
「あの……。
――今日はエイプリルフールじゃないですよ?」
「何でそーなるのッ!!?」
さっきまでの暗い表情はどこ行ったと聞きたくなるほどの調子で、ぎょっとしたように近藤さんは叫んだ。
いや何でじゃねえよ、そう聞きたいのはこっちだよ。
「だって遺影がふざけすぎでしょう!?何で白い着物着て幽霊の格好したヤツ遺影に使ってるんですか!?しかもピースサインまでしてるじゃないですか、何のギャグ!?」
「いやこれしか写真無くて……!」
「んな訳あるかァ!!身分証明書の顔写真とかあるでしょう!!ちょっと何で二人してハッとしてるんですか、本当に写真探したの!?逆に聞きますけど、死因は?!!」
「Aちゃんに嫌わ、モゴォッ!」
何事か言いかけた近藤さんの口を押さえて、副長は冷や汗ダラダラで、
「す、ストレスだな!俺を殺せないあまりにストレスで!!」
「それで死ぬなら私はアイツからの嫌がらせによるストレスでとっくの昔に死んでますよ!!」
ツッコミを入れすぎて肩で息をしてしまう。何この茶番。
私は思いきり溜め息を吐いた。
「まったく、何なんですか二人して。どうかしたんですか?」
真面目に意味不明だ。何なの本当。
呆れて見下ろしていると、二人は顔を見合わせる。
(どーすんだ、全然騙されてねェよ!流石は医者だよ恐ろしい!!)
(医者云々は関係ねェだろ、この作戦自体に無理があんだよ。もう直接聞いた方がはえーよ)
(ちょ、トシィィイイ!!?)〈※全て目で会話しています。〉
ゴホン、と副長は咳払いした。
「あー、A?お前、総悟が死んだらどうする?」
「……はい?」
また妙な質問だな。さっきから何なの本当に。
って言うかやっぱり隊長死んでないんじゃん。
良いから答えろ、と促され、渋々答える。
「そりゃあまあ……流石に悲しいとは思いますけど」
死ねとか思ったりはするけど、あくまで悪態の範囲内だし、実際に死んだら多分悲しいというか、残念には思うんじゃなかろうか。
私は医者だし、医者が人の死を喜んだら終わりだ。
そう言うと、「そうか」と副長は少し安心した顔になる。
「妙なこと聞いて悪かったな」
「はあ。じゃあ、私はこれで」
…結局二人は何が知りたかったんだろ?
首を捻りつつ、私は自室に戻った。
1290人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時