第三章 「ルーニャ様」 ページ5
バンッ、バンッ！！！
二発、銃声がする。
驚いて、少し目を瞑ってしまった。
「な、んだ？」
誰に聞くわけでもなく、空中に言葉を投げかけた。
「あなた方、この者たちを拘束して。少し話が聞けたら聞いてください」
日和様が俺同様、茫然としている門兵に命令する。
二人の門兵は、両方とも敬礼をすると、二人の盗賊を担いで去って行ってしまった。
「……さてと、あなたに説明が必要ね、遼河」
茫然としている俺に、日和様がほほ笑む。
「そこの客室に行きましょうか」
「は、い…」
♦ ♦ ♦
客室に入り、椅子に座る。
ルーニャ様ももしかしたら『元』なのかもしれない。
俺や杏のように。
「ルーニャはね、私が貧民街で出会ったの。それは知ってるわね？」
日和様の問いかけに、俺は小さくうなずいた。
「ルーニャは貧民街で盗みなどはたらいていた。その時の動きが、私の護衛には必要なのよ」
「つ、まり……俺のような、というわけではないんですね？」
恐る恐る聞く。
案の定、ルーニャ様はなんのことだかわかっていない。
「えぇ、あなたや杏とは違うわ。それに―――」
「あれハ麻酔ジュウだカら、大丈夫ダよ」
日和様の言葉を、ルーニャ様がひきつぐ。
「そうですか、ならば安心しました。では、職務に戻ります」
立ち上がり、一礼する。
そして部屋を出る。
「りょ……いや、いいわ」
日和様が何かを言いかけたが、やめた。
俺の後にルーニャ様も出てくる。
ルーニャ様にバレない様に、腕の骨格を治す。
あの時、髪をほどいた時の眼が――――変わって見えた。
だが、その眼は俺や杏のとは違っていた。
「さ、てと…お茶入れなおしますかぁ……」
グーッ、と伸びをして、廊下を歩く。
「遼河モそーゆーコトするのネ」
「そういうこと？あぁ、伸びですか。しますよ。執事は肩がこるんでｗ」
ルーニャ様と笑う。
あぁ、楽しい。
その時、再び窓の外でガサッ、と音がした気がした。
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