恋と歴史が知っている-*探偵チームKZ事件ノート*-

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弥恵之中学校は女子校である。


男子という人種はいない。


幼稚園以外 女子校だったこともあり、
私は超男子がとにかく苦手で、嫌い。


秀明のサッカーチームKZなんて、
思いっきり私の嫌いなタイプ。


エースが目立ちたがり屋だなんて、
そんなの絶対嫌。



・



「悠波！帰ろー！」


「うん。あと、叫ばなくても聞こえてるよ？」



ごめーん、と笑いながら謝るのは、
同じ中学の、同じクラスの女子。


名を、弦羽 瑠梨(いとう るり)という。

容姿端麗、成績優秀な完璧イメージのある彼女は、
実を言うと、バカだ。



「あー！KZだっ！」


「あー…また来た。」



学校からの帰路、
毎日のように会う自転車集団KZ。


これに叫ぶ瑠梨には、もう慣れた。



「上杉ー！」



そして、いつものように‘上杉’を呼ぶ。


彼女曰く、

「眼鏡の奥の瞳が透明で、鋭そうなとこと、
めっちゃツンデレなのがカッコいい」

らしい。



「弦羽。」



いきなり瑠梨に声がかかった。



「え。」



KZを象徴する赤い上着を着た、その人。


縁なし眼鏡が印象的な、とても冷静そうな奴。



「上杉、」



瑠梨が小さく呟いたのを、
隣にいた私が、聞き逃すはずがなかった。


こいつが噂の、と、じっくり眺める。


うん、確かに鋭そう。



「…今日の秀明の後。
家…送ってくから、待っとけ。」


「え？」


「いーから待っとけよ。」



なんだ、これ。



「え、待って。送る？ナニソレ。」



上杉が立ち去った後、
瑠梨は 当然の如く呆然とする。


あまりの怪しさに、
すれ違う人がじろじろと瑠梨を見る。



「瑠梨、帰るよ。」


「送る？送る、送る、おく…」



ああ、ダメだわ。



「早くしないと、秀明に間に合わないけど」


「帰る！！」



突然走り出す瑠梨。


ほんと、元気だよね…。



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