【歌IいI手】バンド、始めてみませんか？

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バス停につくと今さっきバスが行ったところで次は10分後

…10分くらいなら


この時間誰も来ないであろうバス停の時刻表に体重を預け、はあっと息を吐く

大丈夫、…大丈夫。


バッグから朝買っていたスポーツドリンクを取り出して喉を通した


…今集中するべきことは、自分の事じゃなくてバンドのこと

関係ないことばかり考えて、迷惑かけてどうすんの


…ふと、目元に涙が溜まっていて手の甲でそれを拭った

ペットボトルを中に戻し、ポケット部分からスマホを取り出し、ロックを解除する


青い鳥がアイコンのアプリを開くと、タイムラインは仲のいいフォロワーの子がぽつぽつと愚痴をこぼしていただけ

あとでツイ消しするんだろうな、と思いながらもふぁぼってアプリを閉じる


次に開くは音楽アプリ、イヤホンを付けていつものように曲を流すと懐かしく感じてしまう


朝も聴いたのに、懐かしいって


そう、顔を上へあげると視界には昨日ぶりの顔が



「一ノ瀬と相川、なんでこっちに…」


ま「桐原さーん！大丈夫ー？」

そ「声でかいって言ってんだろ！」

ま「そらるさんも変わらない！」


小走りで向かってくる二人はスクバを持って、どう見ても"帰る"人にしか見えない

…嘘でしょ？



「…何してんの」

ま「授業中倒れたんでしょ？一人で帰らせるの心配だからついてきちゃった」

「…だとしても、相川と家の方向「一緒じゃないけど近いからいいの」…」

そ「納得いかない顔してるけど、まふもこう言ってるし」

「…今から引き返すわけにも、って？」


えぇ〜…、と私が声を漏らすと、そんなにいやー？なんて傷ついた表情で覗き込まれる

「…嫌じゃないけど、申し訳ないし」

そ「また倒れたら元も子もない」

「…はい」


そう諦め、渋々二人と帰る





と、思っていた





ま「ちょっと散歩しません？」


そう言いながら家とは反対方向の電車に乗せられたのは、無理やりだったと思う

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