恋愛オンチの恋模様

04.まさかの副主将命令 ページ6

気付けば木々の緑が深みを増してきた、ゴールデンウィーク明けの金曜日。

明日は練習が早めに終わる予定で、私は高島先生に頼まれてその後で買い出しに行くことになっていた。

すると、それを知った純が練習後にマネ室にやってきて、買ってきて欲しいものがある、と言う。

「…じゃあ、グローブ用スプレーとスパイクの紐とグリップテープね。」

「おぅ。」

「えーと、高島先生から頼まれたのが…監督室のコーヒーとお茶とゴミ袋…で、消耗品がテーピングにコールドスプレーにお茶パックと湿布…」

ブツブツ言いながら明日の『買い物メモ』を書いていると、純が後ろからそれを覗き込んで躊躇いがちに言う。

「…それ…全部明日買うのか？多くねぇ？」

「んー？大丈夫、唯と幸子も一緒だから。」

メモを書きながら答えると、後ろで唯と幸子が「そうですよー」「お任せくださーい」と続けてくる。

「…そう…か？…それなら……いや、やっぱ俺も…」

…と、純が珍しくモゴモゴと何かを言いかけた時。
ドアがノックされ、「御幸です。今いいですか？」と声がした。

「どうぞー。」

「失礼します。」

声をかけると御幸がドアを開けて入ってきて、なぜか純が舌打ちをする。

「何？スコア？」

「はい。次の練習試合、前にやったことあるチームらしくて。」

予想通りの用件に、いつも通り勝手に取ってと言おうとした私は、純が半目でジーッとこっちを見ていることに気付いた。

「…純？どうかした？」

「…今さら、だよな…」

「え？」

「何でもねぇ！おい御幸！お前、明日全体練習終わったあと暇か？」

「…は？俺ですか？…まぁ…自主練くらいですかね…」

急に質問された御幸がきょとん、としながら答えると、純は腕組みをして眉間に皺を寄せ、この上なく不機嫌な顔で言った。

「なら、明日Aと一緒に買い出し行ってこい。夏川、梅本、お前らは自主練する連中のフォローを頼む。」

予想外の展開に、私と御幸はポカンと口を開け、唯と幸子は顔を見合わせる。

「まぁ、伊佐敷先輩がそう言うなら…」

「私達は構いませんけどね…」

そう言って、唯と幸子はチラッとこっちへ視線を向けた。

…えーと？

つまり、私は明日…御幸と二人ぼっちで買い出しに…？

「…な…なんでっ！？いいじゃんマネ3人で行けば！」

「うるせぇ！！黙ってこの性悪メガネを荷物持ちに連れてけ！！」

「…あのー…俺の意見は聞いてくれたり…」

「しない！」「しねぇ！」

「ですよねー…」

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