恋愛オンチの恋模様

41.いつの間に… ページ43

『…普通は、恋愛対象にはならねぇんじゃねぇの？』



食堂の前で聞いた、御幸の言葉が頭をぐるぐる回る。



恋愛対象にはならない＿＿＿



ということは、やっぱり…


からかわれただけだったんだ…！


私がどんな反応するか、楽しんでたんだ…！



私……

バカみたい……

バカみたい……！

バカみたい！！



いくら他のマネ達に言われたからって…

両思いかもしれないなんて…

一人で盛り上がって…！


「…っ、ふっ…」


堪えていた嗚咽が漏れてきて、私は足を止めた。
これ以上漏らすまいと手の甲で口を押さえた瞬間、パタパタと涙が地面に落ちる。

…さっき、涙が溢れてしまったのを、純に見られたかもしれない…。
なんだかんだ優しい純は、心配してるかもしれないけど…

でも、今は誰にも話しかけて欲しくない。
放っておいて欲しい。

それもあって、あの場所から逃げ出してきてしまった。


「…っく……う……」


どうしても漏れる、しゃくり上げるような声。
ボロボロと溢れてくる涙。


自分の気持ちに気付いたのはついさっきだけど…


私、いつの間に…



こんなに、御幸のこと好きになってたんだろう…！



たった一言で

恋愛対象じゃないと言われただけで

本気で泣いてしまうほど…。


胸が痛くて苦しくて…熱い。

息ができない。


そのまま、地面に座り込んでしまいそうになった時…
ザッザッザッ、と、後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえてきた。


どうしよう…
もしかしたら、純が追いかけてきたのかもしれない…

慌てて手でグイッと涙を拭い、どこへ向かおうか考えながらも後ろが気になって振り返ったら…


寮の角を、勢い余って半分滑りながら曲がって来たのは…


息を切らしながら、必死な顔でこっちに向かって来るのは…


「…う、そ…」


「…っ、Aさんっ！！」


どうして…

なんで、御幸が…！


一瞬呆然としたもののハッと我に返り、私はまた全力で御幸とは反対方向へ走り始めた。


ヤだ……嫌だ……！

今、御幸と顔を合わせたくない…！


必死に足を動かすものの、立ち止まっていた間に御幸はかなり距離を詰めていて、あっという間に追い付かれ…

ガシッ、と、腕を掴まれてしまった。

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