38.我ながら、情けない【御幸】 ページ40
時は少し遡って___
ガッシャン、と音がして振り向くと、昨日に引き続きAさんがボールの籠を引っくり返していた。
…ヤベェな…ありゃ相当動揺してるわ…
…まぁ…俺のせい…なんだけど…。
ふぅ…と息をついたものの、どうしたらいいかわからなくてガリガリと頭を掻く。
…一昨日…
俺は、衝動的にAさんにキスしてしまった。
裁縫苦手なのに、俺が半分冗談で頼んだ背番号の縫い付けを、夜遅くまでやってくれたらしい。
やけに左手を隠すと思ったら、絆創膏だらけになってて…。
…それ見たら…なんつーか…熱い気持ちが、込み上げて…
頭が、真っ白になって…
気付いたら、唇を重ねてしまってた。
けど、それはマジで自分でもビックリするほど無意識の行動だったから…
その後、どうしたらいいかわからなくなって…
情けなくも俺は、一言『すみません』とだけ告げて、Aさんの前から逃げ出してしまった。
こうなってしまった以上、ちゃんと話をしないと、とは思うものの…中々踏ん切りがつかず、昨日今日と遠くからAさんを見てはため息をついていたりする。
…あーあ…何やってんだ…俺…。
あれから、もう2日経ってる。
早く何とかしねぇと、Aさんが可哀想だよな…。
けど…何を、どう言やぁいいんだよ…。
結局…この日もAさんに話しかけることができずに練習が終わり、俺は着替えて食堂の入口近くの席で飯を食っていた。
…食いながら…考えてた。
これ以上先延ばしにしても、余計話し辛くなるだけだ。
玉砕覚悟でぶつかるしかねぇか…。
『コレ』のこともあるし…。
…と、俺は着替えた時にポケットへ突っ込んだモノへ意識を向ける。
…ほんと…情けねぇわ…。
はぁ…、と、また無意識にため息をついてしまった時、空いていた向かいの席のイスをひいて、倉持がそこに座った。
「…お前、飯は?」
手ぶらの倉持に聞いてみると、腕組みをして半目で答えてきた。
「もう食った。」
「…ふーん…」
…これは…何か話があるパターンか…。
そう思いながら、俺は自分の飯の最後の一口をかきこむ。
「…御幸…お前さ…」
案の定、水を飲もうとコップに口をつけたタイミングで倉持が口を開いて、俺は視線だけで先を促した。
…そしたら…
「…Aさんと何かあっただろ。」
表情を変えずに、倉持がバッサリ切り込んで来て…
俺は、思わず吹き出しかけた口の中の水を無理矢理飲み込んだ。
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ゆう - →素敵な作品に出会えて良かったです。これからも応援しています、頑張ってください。長文失礼致しました>< (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして、1話から一気に読ませていただきました!元々御幸くんの小説読みたいな〜なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読んでいくうちにキュンキュンが止まらなくて、一気に読んでしましました…(笑)→ (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 雪星さん» そうなんですね!笑 是非是非お願いします(人´3`*)〜♪笑 (2016年10月12日 20時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 夏乃実さん» 夏乃実さんっ!私もそんな御幸がツボです(真顔)。自分の欲望やら願望やらが色々詰め込まれた作品ですが、ツボが同じ人には楽しんでもらえたかな、と思ってます(^^;表現とかは…いやいや、まだまだです、はい(>_<)応援ありがとうございます!頑張りますね! (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 美憂春さん» そうですね〜、気長に待っててください(^^;後朝は、ノリと勢いで書き始めたんですが、予想以上にイチャイチャラブラブ度が高くなって自分でもニヤニヤ通り越して恥ずかしくなってました…( ̄▽ ̄;)マイペースですけど、色々考えてみますね〜(*^^*) (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年8月11日 18時