37.偶然聞こえた会話 ページ39
ドクン…ドクン…
と、未だに強く脈打つ心臓を感じながら、私はマネ室から出た。
自分の気持ちを認めたものの、恥ずかしくて顔を上げられないでいると、幸子と唯にバシバシと肩や腕を叩かれ…。
「やっと気付きましたか!」とか「時間かかり過ぎですよ!」とか言われ…。
どうやら、みんなに言わせると私と御幸は、
…り…り…両思い…
らしくて…。
たぶん、近々御幸がちゃんと告白してくるはずだから待っとけ、みたいに言われたんだけど…。
ちょうどそこで東条君がマネ室へ来て、純が私を呼んでると連絡を受け、このタイミングで秘密の女子会はお開きとなった。
それにしても…。
両思い、なんて…
みんな、どうして言い切れるんだろう…。
私はまだ、いつもみたいにからかわれたんじゃないか、っていう思いが捨てきれなくて…。
ドキドキモヤモヤした変な気持ちを抱えながら食堂の前を通りかかると、ガラガラと扉が開き、ちょうど中から純が出てきた。
「…あ…純…」
「おぅ、連絡いったか?」
「うん。何?どうしたの?」
「…あー…その…な…」
ガリガリと頭を掻きながら食堂の中を気にしつつ、珍しく純が言い淀む。
暫く待っていると、純は横を向いて大きなため息をついてから、眉間に皺を寄せて私に向き直った。
「…お前、昨日からちょっとおかしいだろ…」
「…っ!…えっ…と…」
思わず視線を揺らすと、純はジャージのポケットに手を突っ込みながらぶっきらぼうに言った。
「…御幸と…何かあったのか…?」
「…な…!」
なんで…純まで…!
カッと赤面してしまいながら言葉を失った、その時。
「ヒャハハハッ!んで、結局お前はどう思ってんだよ、Aさんのこと!」
食堂の中から甲高い倉持の独特の笑い声が聞こえて…私は思わず息を飲んだ。
…え…私…?
「どうって…面白い先輩…だろ…?」
「とぼけんなよ。いい加減白状しやがれ。」
「そう言われてもな…」
ドクンドクン…と、また鼓動が早くなる。
この…声は…
倉持と話してるのは…
御幸…。
「お前も知ってるだろ?あの人の足癖…」
ドクンドクンドクン…
耳の中に異常に響く、自分の心臓の音。
「…普通は、恋愛対象にはならねぇんじゃねぇの?」
その言葉が、聞こえた瞬間…
頭を何かで殴られたような衝撃に襲われた。
「…っ!あんのヤロ…!…おい、A…?」
する…と、純の横をすり抜けて…
私は全力で駆け出した…。
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ゆう - →素敵な作品に出会えて良かったです。これからも応援しています、頑張ってください。長文失礼致しました>< (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして、1話から一気に読ませていただきました!元々御幸くんの小説読みたいな〜なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読んでいくうちにキュンキュンが止まらなくて、一気に読んでしましました…(笑)→ (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 雪星さん» そうなんですね!笑 是非是非お願いします(人´3`*)〜♪笑 (2016年10月12日 20時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 夏乃実さん» 夏乃実さんっ!私もそんな御幸がツボです(真顔)。自分の欲望やら願望やらが色々詰め込まれた作品ですが、ツボが同じ人には楽しんでもらえたかな、と思ってます(^^;表現とかは…いやいや、まだまだです、はい(>_<)応援ありがとうございます!頑張りますね! (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 美憂春さん» そうですね〜、気長に待っててください(^^;後朝は、ノリと勢いで書き始めたんですが、予想以上にイチャイチャラブラブ度が高くなって自分でもニヤニヤ通り越して恥ずかしくなってました…( ̄▽ ̄;)マイペースですけど、色々考えてみますね〜(*^^*) (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年8月11日 18時