36.ようやく気付いた気持ち ページ38
「「「「キスされたー!?」」」」
「う…その…はい…たぶん…」
目を見張り、前のめりで声を揃えるみんなから顔を逸らしながら、私は過去最高に顔が熱くなるのを感じていた。
やっぱり…恥ずかしい…!
恥ずかし過ぎる…!
「…御幸め…やっと動いたと思ったら…」
「いきなりチューしちゃうとはね…」
幸子と唯が呆れたように言って、春乃ちゃんは両手で口を覆って赤くなっていた。
「…それで、御幸君はその後何て…?」
「え?…あぁ…えと…『すみません』って部屋を出て行って…それからは、御幸とは話してない…」
「『すみません』…かぁ…」
…と、腕組みをしながら貴子が考え込む。
「なんか、もう…全然意味わかんなくて…」
膝の上で揃えた両手に視線を落とし、私は今の自分の素直な気持ちをボソボソと喋った。
「…私…からかわれたのかな…?あれは…じ、冗談で…」
「それはないと思うわよ。」
すると、貴子に即答されて思わず顔を上げた。
「…え…」
「Aは気付く余裕がなかったでしょうけど、御幸君、昨日今日とチラチラAのこと見てたわよ。いつも以上に。」
「心配そうな、困ってるような…変な顔でしたね。」
「そのクセAさんには絶対近付きませんでしたけど。」
楽しげに貴子に続いた唯と幸子の言葉に、ドクドクと鼓動が早まってくる。
「ねぇ…A。大事なこと聞いてもいい?」
「大事なこと…?」
たぶん真っ赤になってる顔で聞き返すと、貴子はふわっと微笑んだ。
「Aは、御幸君のことどう思ってるの?」
「…っ、ど、どうって…!」
カッと、今まで以上に顔が火照ってくる。
「あ、あいつは、生意気な、後輩で…!」
「それだけ?」
「そ、それ以外何が…!」
「キスされた時、嫌だった?」
柔らかい微笑みを浮かべたまま、貴子が言葉を重ねてきて…
異常なほど鼓動が早くなるのを感じながら、私は必死で思い出していた。
キス…された時は…
あの時は…
「あ、あの時は…ビックリ…して…」
「うん。」
「…ドキドキ、して…」
「うん。」
「…わ、私…」
…どうしよう…
今頃…気付くなんて…
…私…あの時…
「……嫌……じゃ…なかった……」
俯いて、消え入りそうな声で答えると…貴子が静かな声で優しく言った。
「つまり、Aは御幸君が好きなのよね。」
それを認めるのは、かなり抵抗があったけど…
結局私は、コクンと小さく頷いた。
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ゆう - →素敵な作品に出会えて良かったです。これからも応援しています、頑張ってください。長文失礼致しました>< (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして、1話から一気に読ませていただきました!元々御幸くんの小説読みたいな〜なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読んでいくうちにキュンキュンが止まらなくて、一気に読んでしましました…(笑)→ (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 雪星さん» そうなんですね!笑 是非是非お願いします(人´3`*)〜♪笑 (2016年10月12日 20時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 夏乃実さん» 夏乃実さんっ!私もそんな御幸がツボです(真顔)。自分の欲望やら願望やらが色々詰め込まれた作品ですが、ツボが同じ人には楽しんでもらえたかな、と思ってます(^^;表現とかは…いやいや、まだまだです、はい(>_<)応援ありがとうございます!頑張りますね! (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 美憂春さん» そうですね〜、気長に待っててください(^^;後朝は、ノリと勢いで書き始めたんですが、予想以上にイチャイチャラブラブ度が高くなって自分でもニヤニヤ通り越して恥ずかしくなってました…( ̄▽ ̄;)マイペースですけど、色々考えてみますね〜(*^^*) (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年8月11日 18時