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28.雨の日のティーバッティング ページ30

翌日は、朝からしとしと降っていた雨が部活が始まっても止まず、部員達は室内練習場やトレーニング室で個別のメニューに取り組んでいた。

私は室内練習場でティーの球出しを担当することになり、現在純に2箱目を投げてるところで…

「それっ。」

「んがっ!」

「次っ。」

「ふぬっ!」

「この辺?」

「おいっ!」

「ラストー!」

「だあぁぁっ!」

カキーン、と(かなり)高めの球を大根切りのようにして打った純が、ギリッと強い視線を向けてきた。

「お前なぁっ!あっちこっちバラけ過ぎだろ!しかもほとんどボールじゃねぇか!」

「だって純が適当に散らしてくれって言ったんじゃん。」

「適当っつっても限度があんだろ!せめてストライクゾーンに投げろ!」

「はぁーい。すみませぇーん。」

肩を竦めて見せると、純は「ったくよー」とか言いながらガシガシ頭を掻いてたけど…ふと、私の後ろの方を見て目を細め、眉間に皺を寄せる。

「…あの野郎…」

ボソッと純が呟くのを聞いて、ひょい、と私も後ろを振り返ると、御幸がこっちに背中を向けてブルペンの方へ歩いているところだった。

「…腰抜けが…逃げてんじゃねぇっつーの…」

「…純…?」

何のことかよくわからなくて再び純に顔を向けると、純は半目で大きく息をついたあと、呆れたように言った。

「…お前もそろそろ気付けよ…」

「気付けって…何のこと…?」

「まぁお前の場合は、まず自分の気持ちに気付くのが先だぁな。」

「だからぁっ、何の話してんの?」

やれやれと言わんばかりに大袈裟なため息をつく純に、ムゥ、と不機嫌な顔で詰め寄ってみると…純は半目のまま、うにょ〜んと両手で私の頬を引っ張った。

「んっとにめんどくせぇなお前らは!」

「いひゃいいひゃい!」

「こっちの身にもなれよいつまでもグスグズモタモタしやがって!」

なんだか半分キレたようにそう言うと、純は私の頬から手を離し、さっさとネットからボールをカゴに戻し始めた。

「何なのよ…もう…」

頬を擦りながら呟くと、純がギロン、とこっちに目を向ける。

「なんか思いっきりブチかましたくなったから、次は全部ど真ん中投げろ。」

「……わかりましたぁ……」

ンベッ、と舌を出しながら言うと、すかさずビシッとデコピンが飛んできた。

もうっ…!
私が何したってのよ…!

29.ざわめきの正体【御幸】→←27.調子が狂う



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作品ジャンル:アニメ
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ゆう - →素敵な作品に出会えて良かったです。これからも応援しています、頑張ってください。長文失礼致しました>< (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして、1話から一気に読ませていただきました!元々御幸くんの小説読みたいな〜なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読んでいくうちにキュンキュンが止まらなくて、一気に読んでしましました…(笑)→ (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 雪星さん» そうなんですね!笑 是非是非お願いします(人´3`*)〜♪笑 (2016年10月12日 20時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 夏乃実さん» 夏乃実さんっ!私もそんな御幸がツボです(真顔)。自分の欲望やら願望やらが色々詰め込まれた作品ですが、ツボが同じ人には楽しんでもらえたかな、と思ってます(^^;表現とかは…いやいや、まだまだです、はい(>_<)応援ありがとうございます!頑張りますね! (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 美憂春さん» そうですね〜、気長に待っててください(^^;後朝は、ノリと勢いで書き始めたんですが、予想以上にイチャイチャラブラブ度が高くなって自分でもニヤニヤ通り越して恥ずかしくなってました…( ̄▽ ̄;)マイペースですけど、色々考えてみますね〜(*^^*) (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪星 | 作成日時:2016年8月11日 18時

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