09.お・ね・が・い♪【御幸】 ページ11
Aさんと買い出しに行った翌々日の夜。
寮の裏では、今日もブンッ…とバットが空気を切り裂く音が響いている。
俺達の一つ上…哲さんや純さんの代が始めた夜のここでの素振りはすっかり定着し、今や三年生だけでなく、二年や一年も混ざるようになっていた。
俺も頭にタオルを巻いて隅っこで振らせてもらってて、そろそろウェイトを外そうかと振り抜いたバットを見ながら考えていた時。
「おい、御幸。」
と、純さんに声をかけられた。
「何ですか?」
「…お前、一昨日…買い出し行って来たんだよな…?」
ガシガシと頭を掻いてる純さんは、なんだか決まり悪そうな顔をしている。
「はい…命令通り荷物持ちしてきましたけど…?」
「それは…いいんだけどよ…その…」
目を泳がせながら珍しく何かを言い淀む純さんは、そのまま暫く黙った後…はあぁぁ、と巨大なため息をついてからくるっと背を向けた。
「…いや、何でもねぇ。」
そう言うと、スタスタと亮さん達の方へ歩いていく。
…なんだ?何か言いかけてたよな…。
つーか、あの時純さんが俺に荷物持ち命令した事も驚きだったんだよな…。
なぜなら…どう見ても純さんは、Aさんのことを…。
「差し入れ持ってきましたー。」
純さんの背中を見送ってぼんやり考えていると、藤原さんの声が聞こえてきた。
後ろにはAさんもいて、二人が持っているトレイにはおにぎりが乗っている。
どうやら今日も作ってきてくれたらしい。
…あ。
いいこと思い付いた。
純さんのことはとりあえず置いといて、俺はニッ、と笑みを浮かべてからAさんに近付いて行った。
「…あ、御幸も食べる?」
「はい。いただきます。」
俺に気付いて声をかけてくれるAさんにそう言って、俺はおにぎりを一つ手に取った。
それから、さりげなく会話を繋げていく。
「これ、具は何ですか?」
「それは梅干し。こっちがおかか。」
「あー、なるほどー。…ちなみに、具のリクエストってできます?」
「何か食べたいのがあるの?いいよ、今度作るから。」
昆布とかツナ辺りだと思っているらしく、笑いながら気軽に答えるAさんに、俺は満面の笑みで告げた。
「じゃあ…牛しぐれと天むすで。」
ピシッ、と、Aさんが笑顔で固まる。
「…今…何て…?」
「牛しぐれと天むすで♪」
笑顔のまま俺が繰り返した数秒後。
「はああぁぁぁ!?」
という、Aさんの驚きと怒りの混じった声が響いた。
さて…どうなるかな♪
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ゆう - →素敵な作品に出会えて良かったです。これからも応援しています、頑張ってください。長文失礼致しました>< (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - はじめまして、1話から一気に読ませていただきました!元々御幸くんの小説読みたいな〜なんて軽い気持ちで読み始めたのですが、読んでいくうちにキュンキュンが止まらなくて、一気に読んでしましました…(笑)→ (2017年12月19日 14時) (レス) id: bf0a56ad2f (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 雪星さん» そうなんですね!笑 是非是非お願いします(人´3`*)〜♪笑 (2016年10月12日 20時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 夏乃実さん» 夏乃実さんっ!私もそんな御幸がツボです(真顔)。自分の欲望やら願望やらが色々詰め込まれた作品ですが、ツボが同じ人には楽しんでもらえたかな、と思ってます(^^;表現とかは…いやいや、まだまだです、はい(>_<)応援ありがとうございます!頑張りますね! (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 美憂春さん» そうですね〜、気長に待っててください(^^;後朝は、ノリと勢いで書き始めたんですが、予想以上にイチャイチャラブラブ度が高くなって自分でもニヤニヤ通り越して恥ずかしくなってました…( ̄▽ ̄;)マイペースですけど、色々考えてみますね〜(*^^*) (2016年10月12日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年8月11日 18時