【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室６《短編集》

【成宮鳴の独白】★ ページ8

※成宮視点
＿＿＿＿＿＿＿

バッタアアァァン！！

「Aさーん！俺だよー！」

今日も(心の中でノックして)青道のマネージャー室のドアを開ける。
そのまま練習試合の報告をするつもりだった俺は、振り返ったAさんを見て固まった。
なぜ、って…

「…成宮君…」

「…え？」

Aさんの目は真っ赤で、目尻から…ポロポロと涙が…


…嘘。
え、ちょっと待って何コレ…。
俺何かしたっけ！？


クシャ…と片手で髪を掻き上げてフリーズしてると、Aさんが手で涙を拭って、慌てて説明を始める。

「ご、ごめん…！今、これ読んでて…」

と、Aさんが見せてくれたのは…一冊の少女漫画。

「…は？…漫画？」

「うん。すっごい泣ける漫画でねー。私、元々涙腺弱いんだけど…ハマって止まんなくなっちゃって…」

ごめんごめん、と恥ずかしそうに笑うAさんを見て…

俺は…

その場に崩れ落ちた…。

「え？え？成宮君？」

「…勘弁して…」

「ど、どうかしたの？」

座り込んで片手で口元を押さえる俺に、Aさんはおろおろしながら近付いてくる。
そんなAさんを半目で恨みがましく見上げながら、俺は遠慮なく愚痴ることにした。

「マジで勘弁してよ心臓止まるかと思ったし！」

「そ、そんな大袈裟な…」

「大袈裟じゃないよ！俺何かしたかな、とか、何かあったのかな、とか考えちゃったじゃん！俺のあの時間返してよ！」

…まぁ、実際にはちょっと大袈裟だけど…。
だって仕方ないじゃん。
マジでビックリしたし、ガラにもなく動揺しちゃったし…。

「…ご…ごめんね…？」

内心でブツブツ呟いてたその時、Aさんがシュンとしながら困り顔で下から俺の顔を覗き込んできて…

「…っ！」

…ちょっと…これはこれで反則…！

「…ズルいなぁ…」

顔が火照ってくるのを自覚しながら、俺はAさんから顔を逸らす。
女の子にドキドキして振り回されるなんて、マジで俺らしくない。

「…成宮君？」

小首を傾げるAさんをチラッと横目で見てから、俺はため息をついて立ち上がった。

「…アイス。」

「…え？」

遅れて立ち上がったAさんに、俺はプイッと顔を逸らしたまま告げる。

「ハーゲンダッツのラムレーズンで許してあげる！」

「えっ？ちょ、なんでハーゲンダッツ…！今金欠なのに…！」

一気に慌て始めるAさんの顔は…結局最後まで見なかった。


…だって…こんな顔見せたくないっつーの！


(いたりあんぷりん様リク)

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