【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室６《短編集》

【一年生の場合・壱(2)】★ ページ10

コンコンコン

「…っと、はーい？」

春乃ちゃんを見送り、細かい片付けとかしてそろそろ帰ろうとしていた時、少し控え目なノック音が響いた。

「…失礼します…」

そう言って、そろりと顔を出したのは、春市君と降谷君。

「あれ…どうしたの二人揃って。」

そう聞くと、二人は顔を見合わせてから、珍しく降谷君が口を開いた。

「…なんだか今日は…A先輩の顔色が悪い気がして…」

「僕は降谷君にそう聞かれて、そういえば元気ないなぁ、と思って…それで、様子を見に来たんです。」

春市君があとを引き取って説明してくれて、私は思わず苦笑いを浮かべた。

「なんだ…バレてたのか。」

「…え…ってことはやっぱりどこか調子悪いんですか…？」

「いや、調子悪いワケじゃ…うーん、悪いと言えば悪いか…？」

心配そうな降谷君に、どう説明しようか考えていると、外からダダダダダッという足音が聞こえてくる。
そして…

バッタアアァァン！！

「A先輩ー！！」

「…やっぱりか…」

いつも通りの登場の仕方で沢村がやってきて、私は半目でその沢村に視線を向けた。

「…沢村…もう少し静かに…」

「今日はいつもより生気がないっすけど、大丈夫なんすか？」

どうやら沢村も、降谷君や春市君と同じように一応私のことを気にしてくれてるらしい。
…しかし、生気がないって…どんな表現よ…。

「あー…大丈夫大丈夫。確かにちょっと調子悪いけど、病気じゃないから。」

「調子悪いけど病気じゃないって、なんすかそれ。」

「だから…その…これは仕方ないんだってば…」

「…何か持病でも…？」

「いや、そうじゃなくてね降谷君…」

もー…。
なるべく直接的な表現はしたくないんだけどな…。

「…女の子のアレだから…あ、あんまり気にしないで…！」

察してくれ！というオーラを全開にして苦し紛れにそう言うと、春市君がハッとしたような顔をしてから一気に赤面する。

「…そ、そうだったんですか…！すみません、思い当たらなくて…」

「いやいや、それが普通だから。」

ワタワタし始める春市君とは対照的に、沢村と降谷君はまだわからないらしく、首を捻っている。

「春っちはわかったのか？アレって何だよ？」

「だ、だから…アレだよ…！」

「……どれ？」

「その…！お、女の子の日だよ…！」

私の代わりに春市君が沢村と降谷君に説明してくれて、沢村は「女の子の日…」と呟いたあと、カッと目を見開いた。

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