【多田野樹の罰ゲーム(1)】★ ページ37
「つまり罰ゲームだから。」
「…罰ゲーム…?」
無意識に繰り返した私に、白河君は真顔で頷く。
「そう…フリーバッティングのヒット数が一番少なかった奴が、好きな女とポッキーゲームをするっていう…」
「…何なのその相手の都合ガン無視の罰ゲーム…」
呆れながら呟くと、神谷君に羽交い締めにされている多田野君が、真っ赤になりながら「スミマセン…!」と謝っていた。
部活が終わり、日課のマネ室でなんだかんだゴソゴソするのも終わり、制服に着替えてさぁ帰ろう、という時に…奴らはやってきた。
先頭切って神谷君が、続けて白河君がやって来て、二人を追うように慌てた様子で多田野君も入ってきて…
「何でもないんですスミマセン!」と二人を引っ張って帰ろうとする多田野君を神谷君が羽交い締めにし、白河君が淡々と説明し始めたワケなんだけど…。
「ちなみにこの罰ゲームを言い出したのは成宮。そして負けたのがコイツ。」
ピッ、と白河君に親指で示されて、多田野君の顔がカアァッと真っ赤に染まる。
「あ、あの…!好きな人というか、その…!」
「多田野の好きな女なんて誰も知らなかったけど、成宮がお嬢なら間違いないんじゃねぇか、ってさ。」
羽交い締めにされたまま何かを言いかけた多田野君に被せて、神谷君がさらっと付け足した。
そうか…
原因は全部成宮君か…
罰ゲームといい私の名前を出したことといい、余計なこと言ってくれちゃって…
「…ま、言った後で多田野がお嬢とポッキーゲームやることになるって気付いて、『やっぱ今のなし!』とか言い出して、今寮で部屋に隔離されて暴れてるけどな。」
「…あ…そう…」
何なの?バカなの?
はあぁ…、と色んな感情を込めた深いため息をついていると、白河君は相変わらず無表情に淡々と説明を続ける。
「…で、成宮は来れないから俺が代わりに見届け役になった。」
「ちなみに俺は、緊張と照れで真っ赤になりながら唇を突き出すお嬢のキス顔を間近で観察したいっていう気持ちが抑えきれなくて…」
「腐った願望を垂れ流すな変態。」
凍りつきそうな視線で神谷君を一睨みしてから、白河君は持っていた袋からポッキーを取り出して私に差し出す。
「面倒だから、さっさと終わらせてよ。」
「いやちょっと待って。私の意志は?やるなんて一言も…」
「そ、そうですよ…!月原さんに迷惑じゃないですか…!」
私と多田野君がそう言うと、白河君はまだ何かが入っている袋をスッと差し出した。
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雪星(プロフ) - さーたんさん» 楽しんでもらえたようで良かったです!とりあえず、照れはするだろうな、と。それからの反応はそれぞれ違うだろうな、と思いながら書きました(>_<)ゾノはこのシリーズのオチ担当です(笑) (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - のりさん» ゾノは、あの歌を歌ってる場面がポンッと降ってきまして(笑)御幸の回なのになんだかゾノがメインになってしまったような…(^^;まぁ面白くなったからいいかな、と(^^; (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 桜さん» いえいえ、こちらこそせっかくリクしていただいたのに、お応えできなくて申し訳ありません(T_T)再開したら、またヨロシクお願いします! (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
さーたん - やばいですね!!!事故チューどれも最高でしたッ!金丸はかわいいし亮さんはかっこいい!!そしてゾノの登場にはわらいました笑 みんなが照れててテンション上がりました笑 ありがとうございます!!笑 (2017年2月19日 0時) (レス) id: a56f300cf9 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 雪星さん» ども、おひさです。…とりあえず、ゾノwお主は我をわらかしてくるのぅw御幸の話を読むとデリカシークラッシャー御幸を思い出してただでさえ吹いちゃうのにw (2017年2月16日 23時) (レス) id: 7a0132dcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月29日 18時